平成21年度 研究成果報告会開催記録
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私どものような行政、これら3者の真ん中の重なるところに位置づけられています。従いまして、私ども行政が研究所に期待している役割は、理論的な研究はもちろん、それら3者を上手に橋渡ししていただきながら、市民の役に立つ実務的かつ実現可能な研究の推進と具体的な提案をしていただくことです。既に、駐車場案内システムや中心市街地玄関口バス、事業所主体のTDMの推進等、研究所の取り組みや成果が実現され、市民に喜んでいただいている例はたくさんあります。こうした視点から、本日報告いただきました内容を見せていただきます。 1つ目の「大規模事業所を対象としたエコ通勤プロジェクト」についてです。 これまで市では、鉄道駅周辺の事業所を対象にエコ通勤の推進に取り組んできましたが、今回の取り組みは、少し鉄道駅から離れた事業所を対象として、事業所が駅から運行している通勤バスへの転換を促進する内容でした。本市の事業所は駅から離れた場所に位置するところも多いため、新たな展開として大変興味深く聞かせていただきました。 また、これまでの本市のエコ通勤への取り組みは、インターネットを活用した情報提供により通勤手段の転換を訴えるものでしたが、今回は紙ベースによる実施でしたので、その効果の違い等も比較し、今後はどういったやり方がよいかという提案もあるとよかったかなと思います。 また、平成18年度の発表の中に、エコ通勤の継続的な実施には健康という要因が重視されるという内容があったかと思います。今回はそういった分析はなかったようですので、継続して掘り下げていただけたらと思います。 事業所主体のエコ通勤を進めていくためには、それぞれの事業所に合ったエコ通勤の方法をきめ細かく検討し、実施していく必要があるため、研究所におかれましては、「エコ通勤をすすめる会」を充実させる中で、各事業所へのアドバイザーの役割を引き続き果たしていただけたらと思います。 次、「生活道路における交差点カラー舗装化対策」です。 交通安全は、最も重視しなければならない交通施策で、効果のあることはできるだけ速やかに実施する必要があると考えています。今回の交差点カラー化につきましても、その効果を市民に分かりやすくまとめていただければ、行政としてはさらに促進できると思います。 なお、先ほど質疑応答でもありましたとおり、まちづくりの中に今、景観に対する考え方を取り入れていますし、景観条例についても考えているところですので、カラー舗装が景観に与える影響について、少し掘り下げていただけたらと思います。 交通まちづくりにITSの活用も重要ですが、短期的には、こうしたローテクの取り組みも非常に効果があると考えています。どういった場所に導入していったらいいのかといった提案も期待しています。 3つ目の「自治体の運行するバスの運営実態とその評価視点」についてです。 まさに現在、本市で進めていますおいでんバスの評価・改善に非常に参考になる研究であり、大変興味深く聞かせていただきました。 本市では、平成19年度から基幹バス、地域バスの充実に取り組んでいまして、平成20年度の基幹バスの利用者数は、石川からも話がありましたとおり、平成19年度の21%増となっています。一方、地域バスは3.6%の増ですが、やはり路線によって内容に大きな差があります。今年度、その中間評価を実施し、改善に努めていきたいと考えていますので、今回の研究成果を活用させていただき、より利便性の高い公共交通ネットワークの構築に努めていきたいと考えています。 さて、ご存じのとおり、「環境モデル都市」に認定されました豊田市は、「ハイブリッド・シティとよた」を実現していこうとしています。安藤部長さんの冒頭の説明にありましたように、研究所の研究分野の土台も、平成21年度より「交通まちづくり」から「人と環境にやさしい交通まちづくり」に改められ、研究のテーマの柱に環境が加わりました。豊田市としましても、低炭素社会の実現に向け、研究所と一層連携して、さまざまな事業を実施していきたいと考えています。今後も具体的な提案、社会実

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