平成21年度 研究成果報告会開催記録
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運行実態と評価の関係性から見た考察です。運行実態(収支の状況)の傾向と評価の視点の関係を見たところ、収支率が極端に低い自治体ほど、評価時に収支を重視しなくて、利用者数を重視する傾向にあり、収支率がある程度ないと、利用者意識、満足度を重視しないという2つの傾向があることが分かりました。そもそも収支率が極端に低いバスがかなり多いことを踏まえますと、ここに運行の実態から見て重要と考えられる評価視点と実際の評価視点のギャップの原因があるのではないかと考えられます。 最後、結論として、繰り返しになりますが、①運行実態のまとめです。多くの自治体バスがここ10年で運行を開始している。交通空白地域など、これまで利用意向が不明だった地域を運行するバスが多い。均一料金が非常に低廉に抑えられているにもかかわらず、それ以外の収入源があまりない。 次に、②評価の実態のまとめです。利用者数、利用目的などの実態面を把握されているが、利用者の行動の詳細や意識面を定量的に把握している自治体は比較的少ない。また、PDCAの意識はかなり高いが、適切な手順が今、求められているとともに、評価時には収益よりも利用実態が重視されている傾向がある。 最後、③運行の実態と評価との関係性のまとめです。収支率が極端に低いと、逆に評価時に収益を重視せず、利用者数を重視する傾向がある。さらに、収支率がある程度ないと、利用者意識までは重視されない。 結局、厳しい実態の自治体ほど、それを反映した固定的な評価視点が形成されているのではないかと考えられます。これまで整備されている法律やマニュアルなどの枠組みを活用して、さらには運賃収入が非常に固定的ですので、運賃収入以外の収入の視点を考え、持続可能な自治体バスにつながるような広い視点での評価を期待していきたいと思います。 以上、ご清聴ありがとうございました。
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