平成21年度 研究成果報告会開催記録
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評価して、改善して、運行して、また評価をしてという流れ、そういったサイクルを意識していますかということですが、意識している自治体が3割、意識しているけれども、具体的にどうするのかが決まっていない自治体が6割、意識していない自治体が1割です。かなりの自治体がPDCAサイクルを意識していますが、どうやっていくかがまだ分からない自治体も多いことが分かります。 続いて、運行見直ししていく時に重視する評価項目です。縦軸に、利用実態、収益、間接効果に分けて評価項目を並べ、とても重視する、重視する、重視しないの3段階で聞いています。利用者の満足度や利用者の増減、利用者数、そういった利用実態は、とても重視する自治体が結構多いんですが、収益や、住民の外出機会といった間接効果については、それほど重視してないことが分かります。 ここまで見てきました評価実態のまとめです。 まず、調査項目の実態についてです。利用者数の実態は7割以上の自治体が把握している。利用者、地域住民への意識調査は約6割の自治体が実施している。さらに、意識調査の内容としては、利用者の利用目的、場所、利用頻度などは8割ぐらいの自治体で調査されているが、利用時間、交通手段といった詳細な行動まで把握している自治体は比較的少ない。さらに、利用者満足度など、定量的に利用者の意向を把握する調査もあまり実施されていない。以上をまとめますと、利用者数、利用目的などの実態面はかなり把握されていますが、利用者行動の詳細や意識面を定量的に把握している自治体は比較的少ないことが分かります。 次に、評価時の意識の実態についてです。PDCAサイクルについては、約9割の自治体が意識している。ただ、その方法については未定の自治体が結構ある。さらに、評価時においては、利用者数、利用者満足度の重視度が、収益に比べて比較的高い状況にある。まとめますと、PDCAの適切な手順が求められているとともに、評価時には収益よりも利用実態が重視される傾向があることが分かります。 全体的に、利用実態重視で、利用意識や収益意識は比較的低い傾向が確認できます。 以上、①運行の実態と②評価の実態から見た考察です。運行の実態から見ると、利用者、収益への意識といった視点が重要であると考えられるにもかかわらず、評価視点は利用実態重視で、利用者や収益への意識が比較的低い傾向にあります。なぜこの辺のギャップが生じるのかということで、評価の視点が運行実態にどのように結び付くのかという③

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