平成21年度 研究成果報告会開催記録
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果は意味がないと結論づけています。走行挙動でも交通量の変化がありませんでしたし、単純集計のほうでもやはり、通るとか、通らないとか、そんなことには関係がないということでした。ここでもやはり交通量を重視するので、歩行者の視点からは効果がないと評価されているということです。自動車の視点では、交差点に対する注意喚起がなされると、安全性向上効果があると言っている方が多いといったことが出てきています。最後、自転車の視点ですが、こちらは新たな知見ですが、そこが通りやすくなったと思っている方が、そこの安全性が向上したと考えている傾向があります。通りやすさの効果を認識するほど、安全性向上効果に対する意識が高まるということで、走行環境と安全性のそれぞれに対する意識間にやや関連性が見られることが分かります。以上の成果のまとめです。今回のカラー舗装の効果を見るために、1つは走行挙動の調査、もう1つは意識の調査という2つのアプローチをしていますので、分けてまとめています。 走行挙動の調査では、流入部の条件、例えば優先なのか、非優先なのか、もしくは、道路幅員が広いのか、狭いのか、もしくは、速度規制、一旦停止があるのか、ないのかといったことが減速効果に影響を与える可能性があることが分かりました。また、昼間か夜間かでも変わってくる可能性があります。 意識調査のほうでは、皆さん、安全性向上効果が大きいと考えているんですが、その中を深く掘り下げると、意識や行動の変化に対してはその効果がさまざまで、交通手段によっても差が生じることが分かりました。また、そこの交差点は交通量が多いから危険だと感じている歩行者ほど、あまり効果がなかったという判断をしています。あと、自動車への注意喚起の効果が、地域の安全性に対する意識の向上に深く寄与していることが分かります。 今後どのように展開していくのか、今後の展望です。 1点目、今回は実際に測定したデータ、実際に伺った意識のデータを分析していますが、それを事故データとどのように関連させるのかといった課題があります。例えば、どのような出合い頭事故が多発しているのかといった事故データとの関連を見て詳細分析を行うといったことが必要だと考えています。あと、道路や規制条件から見て、そこに対策を導入する可能性があるか否か、果たしてカラー舗装は意味があるのか、ないのかといった可能性を探ることです。あと、カラー舗装してもあまり意味がないとしたら、新たに一旦停止等を入れていくというような規制の見直しというスタンスを提供していく可能性を探っていくといったようなことを課題として挙げています。 2点目、対象交差点における走行挙動の追跡調査です。カラー舗装がなされてから1年ぐらいたちますが、やはり何回も通っていると、慣れが発生しますので、行動に変化が出てきて、速度の低減効果がなくなってきている可能性も予想されます。ですので、追跡調査を行うことも意味があると考えています。また、視覚認知に関する実験的測定とあります29成果のまとめ•走行挙動調査–流入部の条件(優先/非優先の区別の有無、道路幅員、速度制御規制の有無)が減速効果に影響を与える可能性がある。–対策導入による断面平均速度の抑制効果は、昼間と夜間とで異なる場合がある。•意識調査–住宅地内の「安全性向上」への効果は大きいとの認識下にあるものの、具体的な「意識」や「行動」の変化に対しては、その効果が様々であり、交通手段によっても差が生じる。–交通量が多いため危険を感じている歩行者ほど、対策の効果がないと評価している。–対策の自動車への注意喚起効果が地域の「安全性向上」に対する意識に深く寄与している。30今後の展望•事故データ分析との関連性–事故発生状況の詳細分析との兼ね合い–道路・規制条件との関連からみた対策導入の可能性–規制の見直しに対するスタンスの提供•対象交差点における走行挙動の追跡調査–利用者の対策に対する慣れの影響–視覚認知に関する実験的測定•他の安全対策との組み合わせによる効率的手法の模索・提案–対策のカップリング(併用)による各種対策の不足点補完•交通手段別にみた対策導入可能性–手段別交通量を視野に入れた導入可能性

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