平成21年度 研究成果報告会開催記録
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は、あまり通らなくなりましたかという質問ですが、特に変わらないと。交通量があまり変化しなかったという結果からも裏付けられていますが、色が塗られたからといって、通過頻度が変わるわけではないということがアンケート結果からも分かります。続きまして、通過速度ですが、やはり自動車のほうで、注意するようになったと答えた方がたくさんいるからか、ゆっくり通るようになったと答えた方が70%以上です。意識が高まっていることが分かります。 これは安全性向上への効果です。そもそも安全効果がありましたかという質問に対して、効果あり、やや効果ありと答えた方が全体の83%近くになっています。全体的に効果があったといえます。以上がアンケート調査の単純集計の分析ですが、ここからはもう少し掘り下げ、統計的な多変量解析という手法を使った分析結果を見ていきます。 真ん中のピンクで書いたところが、安全性向上効果です。周りから矢印が向かっています。最後に聞きました「交差点に色を塗ったことは安全性向上に効果があると思いますか」という質問に、効果あり、やや効果あり、効果なしと答えていますが、そのような回答が一体何に影響されているのか、要因は一体何が強く出ているのかということを分析しています。性別で動いているのか、年齢によっているのか、もしくは、現状認識の1つである交通量が多いという意見が影響を与えているのかといったことです。 数量化Ⅱ類という手法で分析をした結果はこのようになっています。ここでもやはり自動車の視点と自転車の視点と歩行者の視点、それぞれに分けて分析しています。 この結果の解釈です。まず、自動車、自転車、歩行者という交通手段別に見ると、歩行者の視点で最も関連が強いことが分かります。特に、交通量が多いから危険だと感じている歩行者ほど、この対策効25アンケート集計④(安全性向上への効果)n=210わからない9.5%効果なし6.7%やや効果あり52.4%効果あり31.4%26安全性向上効果に対する住民意識の分析•対策実施による「安全性向上効果」に影響を及ぼす要因とは?【数量化Ⅱ類分析】《安全性向上効果》効果ある/やや効果ある/効果ない性別年齢距離頻度認知個人属性車の量車の速度現状認識通りやすさ意識変化通過速度行動変化通過頻度注意度合い27数量化Ⅱ類分析(交通手段別)表3 数量化Ⅱ類の結果 自動車 自転車 歩行者 アイテム カテゴリ 数量スコア レンジ (偏相関係数)数量スコア レンジ (偏相関係数)数量スコア レンジ(偏相関係数)男 60 -0.22 36 -0.22 31 -0.12 性別女 56 0.23 0.45 (0.19)36 0.22 0.44 (0.21)39 0.09 0.21 (0.12)20~30代 47 0.38 31 0.34 31 0.21 40~50代 49 -0.22 29 -0.09 28 -0.04 年齢60代以上 20 -0.35 0.74 (0.26)12 -0.65 0.98 (0.32)11 -0.51 0.72 (0.27)遠 52 0.13 30 0.03 24 0.24 近 26 -0.30 17 -0.20 20 -0.20 距離隣 38 0.03 0.43 (0.14)25 0.10 0.31 (0.12)26 -0.07 0.44 (0.22)毎日 44 -0.50 26 -0.15 27 -0.45 2、3日おき 38 0.20 25 -0.15 24 0.14 1週間おき 33 0.34 20 0.25 18 0.43 通過頻度ほとんど通らない 1 2.86 3.35 (0.36)1 2.63 2.78 (0.35)1 1.21 1.66 (0.42)知っていた 82 0.11 51 0.16 54 0.15 個 人 属 性 認知知らなかった 0 -0.27 0.38 (0.14)21 -0.40 0.56 (0.25)16 -0.52 0.67 (0.32)多くて危険18 -0.20 20 0.18 18 1.03 やや多くて危険59 -0.11 39 -0.23 31 0.05 車の量 感じない39 0.26 0.46 (0.14)13 0.39 0.62 (0.27)21 -0.95 1.98 (0.51)速くて危険18 0.20 29 0.16 26 -0.36 やや速くて危険71 0.06 30 -0.03 21 -0.15 現 状 車の速度感じない27 -0.28 0.48 (0.13)13 -0.27 0.43 (0.15)23 0.54 0.90 (0.29)通りやすくなる20 -0.58 12 -0.90 17 -0.89 やや通りやすくなる33 -0.22 24 -0.04 16 -0.13 変わらない49 0.56 33 0.31 36 0.51 通りやすさやや通りづらくなる14 -0.61 1.17 (0.35)3 0.51 1.41 (0.35)1 -0.92 1.42 (0.50)注意するようになる51 -0.49 31 -0.53 27 -0.41 やや注意するようになる51 0.14 26 0.21 18 0.20 意 識 変 化 交差点への注意変わらない14 1.28 1.77 (0.40)15 0.73 1.26 (0.40)25 0.30 0.71 (0.29)よく通るようになる10 0.30 4 -0.28 5 -0.17 やや良く通るようになる6 0.66 6 -0.18 4 0.50 変わらない98 -0.09 62 0.04 61 -0.02 通過頻度やや通らなくなる2 0.86 0.95 (0.18)17 0.49 0.32 (0.09)12 0.29 0.68 (0.16)ゆっくり通るようになる29 -0.30 28 -0.12 18 0.40 ややゆっくり通るように62 0.30 26 -0.16 39 -0.31 行 動 変 化 通過速度変わらない25 -0.40 0.70 (0.27)1 -0.58 1.06 (0.25)1 1.23 1.54 (0.37)全体 相関比(判別的中率)116 0.46(69.0%)72 0.57(69.4%)70 0.65(81.4%)効果あると思う-0.88 -1.02 -1.14 やや効果あると思う0.41 0.52 0.55 外的基準平均値効果ないと思う1.02 0.82 0.61 28数量化Ⅱ類分析の結果•対策効果に対する意識は、交通手段別に見ると歩行者の視点で最も関連が強い。•車の量が多いと危険を感じる歩行者は、対策の効果がないと認識している。•自動車の視点では、交差点に対する注意が喚起されると、安全性向上効果に対する意識が高まる。•自転車の視点では、通りやすさの効果を認識するほど、安全性向上効果に対する意識が高まる。
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