平成21年度 研究成果報告会開催記録
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走行しがちになるという効果が指摘されています。さらに、中央線を抹消するとともに、路側帯の部分を拡幅して車道の部分を狭くし、路側帯を歩く歩行者の空間と安全性を確保するといった組み合わせの対策もよく行われています。中央線抹消は、豊田市が最初にやり始め、その中で効果が確認されて、全国に展開されている対策です。実際、私の出身地である兵庫県でもこの対策が行われています。 ハンプも中央線抹消も交差点に直接ではなく、単路部に対する交通安全対策ですが、今回のカラー舗装化は交差点部に着目した対策です。交差点の中をこのように色を塗ることによって、目立たせて、視覚的に注意喚起を促すというものです。ここに交差点があるから、気をつけましょうということをドライバーもしくは歩行者、自転車など、交差点を利用する方々にお知らせする安全対策です。これについて、効果を2つの視点から検証しています。 まず、交通安全対策をどのように評価するかということです。 一番基本的なものは、事故件数の変化です。対策が行われたことによって、事故が何件減ったのか。これは非常にベーシックで分かりやすい評価方法です。 ただ、生活道路の事故件数となりますと、そもそも交通量が幹線道路と比べて少なく、事故件数を比較するのに時間がかかります。例えば対策前後3年ぐらい幅をとって、3年間の事故がこれだけ減ったというように見ていく必要がありますが、そうなると評価するまでに3年かかってしまいます。迅速な評価が困難です。もう1つ、結果的に事故が減ったことが分かっても、事故が減った要因は何かといった具体的な示唆が与えられないという問題点もあります。 そこで、別の観点からも評価をする必要があるということで、ここでは2つの方法を試みています。 1つは、走行挙動の変化を見ることです。走行実態そのものを観察・観測し、後で解析することによって、迅速に判断します。そこを走ってくる車の速度や交通量がどのように変化したのかを求めることによって、安全性がどれだけ担保されたのかを定量的に分析するのです。そして、例えばどのような道路だったら、カラー舗装をする意味があるのかという条件を出してみるといったようなことです。 もう1つ、交差点を利用するのは人間ですので、人間の中身、意識面の変化をお伺いするといったようなアプローチです。実施された地区の住民にアンケートをお願いして、安全性の評価をしてもらい、それを分析するということです。 今回の研究では、漠然と「この交差点は安全になりましたか」と聞くだけではなく、自動車で利用するとき、自転車もしくは徒歩で利用するときといったように、交通手段別の視点から評価をしていただいています。7研究のアプローチ•住宅地区内交差点のカラー舗装化【本研究の評価対象施策】8研究のアプローチ•交通事故対策評価に必要な視点速度・交通量等にもたらされる効果の定量的分析⇒対策の導入適用性の高い道路の諸条件抽出走行挙動の変化導入対象地区住民による安全性評価の分析⇒交差点利用時の交通手段別の視点からみた評価意識面の変化事故発生件数の事前事後比較⇒迅速な評価が困難、要因分析の必要性事故件数の変化

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