平成19年度 研究成果報告会開催記録
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58過ドライバーもどこかの居住者ですので、住環境はどうあるべきかという本質的なところを総合的に議論していく必要があるかと思います。 先日、ヨーロッパに行く機会があり、既にパリでは、ゾーン30を超えて、ゾーン15、ミーティングゾーンの整備を行い、交差点の大胆な改造を通じて車との調和を図っています。自分たちの住環境をどのように改善していくのか、どうのように住環境を守るか、車と折り合いをつけながらどのような対策を実施するのかということがあって、施策を決めていると思われます。安全・安心、快適な居住環境の形成道路空間の再配分も含めた総合的取り組み事例(パリ)交差点部の大胆な改良とゾーン15規制一方通行と自転車専用レーンもう1つ、ハンプ等は基本的に設置せず、一方通行化とか、自転車の需要の有無に関係なく、自転車の需要を生み出すために自転車専用レーンを設置するとか、道路の使い方の観点から大胆な道路空間の再配分を重ねています。車と人、あるいは、都市と車との調和が成熟化しているところに1つの西洋の先進性があると思いますので、やはり学ぶべきところがあると考えています。 4番目の「ヒヤリハットマップの作成について」。④ヒヤリハットマップの作成について増岡義弘*ヒヤリハット体験を収集することの意義①潜在事故の一種として捉え、希少事象である顕在事故データを補完→事故分析・対策に活用②ヒヤリハットの自己体験の申告を通した、安全意識の喚起・醸成↓交通安全対策への幅広い市民の参画・寄与重要なポイントは?①に関して、収集されたヒヤリハット情報の質等に関する綿密な検討が必要→単に危険箇所指摘情報、事故データの補完に足る情報、等の判定②に関して、申告することの意義の伝達、収集する過程(市民にとって申告すること)そのものが安全意識・行動の醸成機会、収集されたデータ(マップ)の地域住民全体へのフィードバック方法(安全教育面での活用方法等)ヒヤリハット体験を収集することの意義は2点あると思います。1つは、明示されていますが、ハインリッヒの法則にのっとって潜在事故の一種としてとらえ、希少事象である顕在事故データを補完することで、事故分析を精緻化して、効果的な事故対策に活用していくこと。もう1つ、ヒヤリハットは自己申告型のデータなので、自らのヒヤリハット事故体験の申告を通して地域の状況をよく認識してもらい、交通安全意識を喚起すること。いずれにしても、交通安全対策への幅広い市民の参画・寄与の一環として位置づけられます。 ただ、収集されたヒヤリハット情報の質等についてはもう少し精査する必要があるという気がいたします。1つ目のことに関係しますが、ハインリッヒの法則からすると、顕在化事故を氷山の一角とすると、その底にあるのが潜在事故であり、いわゆるヒヤリハット事故となります。先ほど見ていますと、危険地点の指摘データも入っていましたが、1つ目のデータとして使うときには、当事者としてどういうヒヤリハットの経験をしたかという情報が非常に重要になってきますので、単に危険個所の指摘情報なのか、寸前のところで事故が起こらなかった事象を的確に表現しているデータなのか、一件一件見極める必要があると思います。大量にありますので、中には顕在事故データを補完できるだけの事故情報が必ず入っていると思いますので、そこの辺りを検討していただければと思います。 2つ目に関しては、ヒヤリハットの経験を申告することの意義を住民自身にきちんと伝達して理解してもらうこと。それから、収集する過程そのものが安全意識やみずからの安全な交通行動を促す醸成機会になること。それから、いわゆる安全教育ですか、収集されたデータマップを地域住民全体へフィードバックすること。そういう活用の仕方を今後、展開していただければと思います。 5番目の「交通円滑化及びTDMの取り組みについて」。交通主体の意識・行動変容に働きかけて交通問題に対処するという新しいアプローチに、地域全体あるいは非常に大きな組織で継続的に取り組んでいるところに、この研究テーマの大きな意義が

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