平成19年度 研究成果報告会開催記録
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57戦略展開が不可欠で、ここで提案されているような基幹的な幹線と交通結節点、拠点を軸にした再編という方向性は非常に重要な視点だろうと思います。 例えば、我々の地域で経験した「えちぜん鉄道」の再生は、確実に地域の公共交通軸としての位置づけであって、この必要性を地域の人々が中心となって先導したことによって、福井県と沿線市町村が一体となって路線を残したというものです。こういう経験を今、積み上げつつあります。先ほどの財源と権限の確保に、こういうものを積み重ねて切り込んでいただければと思います。 2番目の「協働による交通まちづくり推進の過程」。②協働による交通まちづくり推進の過程田中智麻*「使い手」としての立場だけでなく、「つくり手」としての市民の育成・・・協働の交通まちづくりの必須要件・「つくり手」としての市民づくり⇒市民力交通に対する興味・関心←きっかけづくり興味・関心の広がりと深化←情報提供・参加成果に対する達成感←協働作業自らの責任・義務感←成果の評価と貢献への賛辞市民力の形成に向けた持続的展開参加の拡大と達成感の共有をどうマネージメントするか?これも非常に重要なテーマです。使い手としての市民・住民という立場だけでなく、つくり手としての市民の育成は協働の交通まちづくりの必須要件です。 ここで目指しておられるように、市民力の形成、即ち、「つくり手」としての市民の育成は、ユニバーサルタウンマップ作成がいい素材であることは間違いないと思います。きっかけをつくることで興味・関心を抱いてもらって、市民に参画していただいて、情報を提供することで関心・興味を広げてもらい、更に深化させてもらう。そして、成果に対する達成感を共有する。これは非常に重要なポイントだと思います。その後、実施される中で、みずからの責任や義務感を醸成していく。こういうことを地道に重ねていく必要があるだろうと思います。 ただ、問題は、参加を拡大していくと、達成感の共有が同時に図れるのかという点です。我々もよく経験しますが、提案したものが生かされない、実現されないと、あきらめ感のようなことが同時に起こってくる恐れがあります。市民参加を拡大することと同時に達成感を共有すること、その辺りをどうマネージするかということが重要になってくるのではないかと思います。 3番目の「住宅地の交通安全対策に関する検討」。③住宅地の交通安全対策に関する検討橋本成仁*安全・安心な住宅地の形成はまだまだ重要な課題⇒道路空間の使い方(中央線抹消等)、物的改変(ハンプ等)による安全対策・・具体的施策と効果の検証・今回の報告に関してハンプの交通安全対策の可能性とは?効果をどう測るか2種類のハンプの特徴に対して、うまく使い分けるとは?地区居住者の二つの立場:生活者とドライバー→安全・快適指向と利便性指向の共存地区内通過ドライバーであっても、どこかの居住者自らの住環境を安全・安心、快適にすることの要求とそのために自らが成すべきことをどのように共有するか(住民自身の意識として)、といった本質的な議論が必要?安全・快適な道路空間+生活空間としての道路のありよう(Ex.ゾーン15/ミーティングゾーン等)安全安心で快適な住宅地の形成、我々がどういう住環境をつくり上げていくのか、求めるのかということは重要な課題だと思います。過渡的な、あるいは、ローテクな施策であるとの話もありましたが、ここで言われているような中央線を抹消するとか、ハンプを設置するなどの物的改変による具体的安全施策と効果を検証していく、この積み重ねは非常に重要なアプローチだろうと思います。 ただ、今回の発表に関しては、ハンプの物理的な速度面は考慮されていますが、その交通安全対策の可能性と効果を総合的に把握するにはどうすればいいのか。1つには、2種類のハンプの特徴に関しては、設置の物理的条件によってうまく使い分けるということでしたが、もう少し踏み込んで、沿道であるとか、住民がどのようなものを求めるかによって、ハンプの使い分けがあり得るのではないかということ。もう1つは、地区居住者には生活者の立場とドライバーの立場という2つの立場があって、言い換えれば、安全快適志向と利便性志向が共存しているので、そのような視点を評価としてどう判断していくか、あるいは、そのような共存をどうのように容認していただくかということ。また、地区内通

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