平成19年度 研究成果報告会開催記録
20/77
20のは自動車だということです。鉄道は自動車の半分ほど、バスは自動車の1割強。これだけを見ますと、公共交通より自動車を重視したほうがいいのではないかと結論づけたくなります。 しかし、年度を細かく見ていきますと、必ずしもそうとは言えません。丸を付けていますのは、2002年と2005年の部分です。ここ6年ぐらいの数値を見ますと、自動車の輸送人キロは2002年をピークに減少傾向に入っています。逆に、鉄道やバスは、2002年を底として下げ止まって、少しずつ量が上向いています。このことからも、少しずつ公共交通を見直していく必要があると言えると思います。2007/10/012007/10/01((財財))豊田都市交通研究所豊田都市交通研究所44公共交通事業者の現状公共交通事業者の現状84.882.982.879.178.578.378.579.479.180.682.381.784.988.285.595.996.295.695.594.494.293.293.192.293.594.394.694.494.694.77580859095100199119921993199419951996199719981999200020012002200320042005収支率(%)公営民営公営・民営バス事業者の収支率公営・民営バス事業者の収支率収支率=(経常収入/経常支出)×100 ここ15年、バス事業者の経営は平均して黒字になったことがない。 そういう状況において、公共交通の事業者は実際に儲かっているのか、それとも儲かっていないのでしょうか。これは収支率を示したグラフです。収支率は収入を支出で割ったもので、収支とんとんで100、黒字になると100以上、赤字になると100以下の数値になります。ご覧のように、公営バス、民営バスともに、ここ15年間の収支率はずっと100を下回っています。平均してずっと赤字であるということを考えますと、ここ15年、バス事業者は事業として成立していないところが多くなっていると言えます。 さらにもう1点、これは安全度を比較するためのグラフです。75年から10年おきに30年間、鉄道とバス、ハイヤー・タクシーの事故死者の数を示しています。ご覧のとおり、どんどん減ってきています。特に鉄道は非常に多くの方を運んでいまして、事故で亡くなられる方も結構多いんですが、それでも500人を切る数値です。2007/10/012007/10/01((財財))豊田都市交通研究所豊田都市交通研究所55安全度比較安全度比較4443434169287599165322108166179265010020030040050060070080090010001975198519952005事故死者数(人)鉄道バスハイヤータクシー鉄道・バス・タクシー・自動車の事故死者鉄道・バス・タクシー・自動車の事故死者公共交通は安全な乗り物である2007/10/012007/10/01((財財))豊田都市交通研究所豊田都市交通研究所55安全度比較安全度比較4443434169287599165322108166179265010020030040050060070080090010001975198519952005事故死者数(人)鉄道バスハイヤータクシー鉄道・バス・タクシー・自動車の事故死者鉄道・バス・タクシー・自動車の事故死者公共交通は安全な乗り物である6871106799261107920200040006000800010000120001975198519952005鉄道バスハイヤータクシー自動車自動車の事故死者数は、公共交通の10倍近い近年は、制度の変更や技術向上により全ての交通手段による事故死者数が減少傾向にある これを自動車による交通事故の数と比べますと、公共交通のグラフがぐんと下に行ってしまって、非常に少ないことが分かります。ただ、自動車に関しても、交通事故による死者の数が近年少しずつ減ってきています。2007/10/012007/10/01((財財))豊田都市交通研究所豊田都市交通研究所66なぜ、公共交通の計画が必要なのかなぜ、公共交通の計画が必要なのかモータリゼーションもそろそろ終わり、これからは公共交通がモータリゼーションもそろそろ終わり、これからは公共交通が見直される時代になる見直される時代になるしかし、現状では公共交通は多くの地域では事業として成立しかし、現状では公共交通は多くの地域では事業として成立しないしないしたがって、公共による何らかの介入が必要である。自動車したがって、公共による何らかの介入が必要である。自動車より安全かつ環境にやさしい交通手段であるため、説得材料より安全かつ環境にやさしい交通手段であるため、説得材料も揃っているも揃っている全国の趨勢からいえそうなこと全国の趨勢からいえそうなこと行政で、自治体内にあまねく公平な公共交通ネットワー行政で、自治体内にあまねく公平な公共交通ネットワークを構築する計画を策定し、補助を介した事業者との委クを構築する計画を策定し、補助を介した事業者との委託(受託)関係による安定した運行のできるシステムを託(受託)関係による安定した運行のできるシステムを構築することが求められているといえよう。構築することが求められているといえよう。 このようなことから、モータリゼーションも21世紀に入って、そろそろ終わってくるのではないか、これからは公共交通が見直される時代になるのではないかと言えそうです。しかしながら、現状では、公共交通は多くの地域で事業として成立していな
元のページ
../index.html#20