平成19年度 研究成果報告会開催記録
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14設備コスト、車載機コストといった導入・普及に向けた課題のほかに、車載側のシステムやインフラ側のシステム開発といった技術的な課題もあります。インフラ側のシステムの要素としては、通信、センサ、位置標定の3つがありますが、とりわけ通信技術が重要な課題となります。 現在、車に設置して使用している無線のシステムです。通信系では、例えばVICS、GPS、ETC、DSRC、携帯電話、車の中でBluetoothといったものがあります。トヨタではG-BOOK用の通信モジュールを搭載しています。放送系では、AM、FMラジオ、テレビ、そして衛星放送もあります。制御系では、盗難防止用の仕組みのスマートエントリー、タイヤ空気圧センサ、イモビライザー、それから、レーダー関係もあります。 このうちインフラ協調システム用の当面の通信メディアとしては、光ビーコンとDSRCが有効だろうと考えています。光ビーコンは、交通情報で既に使用実績があるメディアで、高精度の位置評定機能を併せ持つという特徴があります。一方、DSRCも、車専用につくられたもので高速移動対応性の点で高い機能を持っています。光ビーコンとDSRC以外に、携帯電話、無線LANといったものもありますが、安全用の通信メディアとしては適用が難しいと考えています。 当面のメディアが光ビーコンやDSRCとするなら、将来的にはどんなメディアが必要になるかということを整理してみました。縦軸が伝送速度・通信距離、横軸が高速移動への対応可能性で、マルチパスやシャドウィングの耐性を挙げています。アメリカにおきましては、無線LANをベースにしたWAVEという新しい無線メディアを開発中で、標準化の最中です。先ほど申し上げましたように、当面は光ビーコンとDSRCが中心になると思いますが、このメディアからさらに高速移動への対応可能性が向上した伝送速度が速いメディアが今後、必要になってくると考えています。 その新通信メディアの具体的な考え方です。ここに例えばスポット型の通信メディア、DSRCなり、光ビーコンなりがあったとします。現在、感応式の信号がかなり普及していると聞いていますが、青で車がどんどん連続しますと、車が途切れるまで青時間が延長されます。ですから、この距離を走ったときにちょうど赤になりますという情報をもらっても、前の車が連続すると青時間が延長されるので、タイミングを図ることができません。従って、感応式の信号制御とか、通信のゾーンを通過した後の状況変化に対応するために、さらに、ガソリンスタンド等、こういった脇道から途中進入する車への対応も含めて、スポット型通信ではなく、200メートル程度の少し大きめの通信ゾーンを持ったメディアが安全システムのために必要になってくるだろうと考えています。新通信メディアの考え方ガソリンスタンド脇道2. 途中進入する車両への対応2. 途中進入する車両への対応信号機有り交差点(感応制御)スポット通信ゾーン接近車両1. 通信ゾーン通過後の状況変化への対応(信号(感応制御、ジレンマ制御)、接近車両、歩行者など)1. 通信ゾーン通過後の状況変化への対応(信号(感応制御、ジレンマ制御)、接近車両、歩行者など)路車間サービスエリア安全アプリケーションのサービス向上のためには、安全アプリケーションのサービス向上のためには、サービスエリア全体で連続的に通信可能な「新通信メディア」が必要サービスエリア全体で連続的に通信可能な「新通信メディア」が必要■スポット通信の課題への対応 さらに、通信上の課題が4つほどあります。1つ目はシャドウィング。大型車の陰に隠れたときの通信をどうするかということ。2つ目は反射波。直接波以外に、建物やほかの車から入ってくる反射波にどう対応するかということ。3つ目はオーバーリーチ。信号が例えば2つあった場合に、直近の信号からの情報以外に入ってくる前側の通信の干渉にどう対応するかということ。4つ目はセキュリテ
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