平成18年度 研究成果報告会開催記録
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--31 まず初めに、震災時における傷病者搬送システムに関する研究です。Ⅰ.震災時における傷病者搬送システムに関する研究震災が発生した際に多くの傷病者が被災地内の病院へ殺到し、混乱を招いた例が多く報告されている。一般的に、近い、知ってる、大きい、医療機関へ傷病者が集中傷病者の移動モデル(阪神淡路大震災における西宮市のデータを使用)をベースに、豊田市におけるアンケート結果を反映。医療機関へ向かう傷病者数を予測震災が発生したときに、多くの傷病者の方が被災地の中にある病院に殺到して大混乱を招いたという事例が数多く報告されています。例えば、今、ここで震災が襲って、この部屋の天井が落ちてきて、たくさんの方がけがをされたとします。どこの病院に向かうか、あるいは、担ぎ込むかといったことを想像してほしいんですが、一般的に知っている病院。当然です。それから、近い病院。ここから一番近くの病院はどこかと考える。それから、大きな病院です。総合病院、あるいは、地域の基幹的な病院。災害が起きて非常に慌てているときには、そういったところをパッと頭の中に思い浮かべて、けがをした方を運ぼうとする傾向があると言われています。 そこで、傷病者の移動モデル。阪神淡路のときの西宮市のデータを使って、これら3つの要因をパラメータとしたモデルを構築しました。これを豊田市に適用して、医療機関へ向かう傷病者数の予測をしました。災害シナリオ対象地域合併前の豊田市のうち52小学校区を対象とする。シナリオ①市内全域において、一律に人口の1%が被災し怪我を負った場合②市南部(主に国道301号線よりも南部の地域)にてやや大きな被害(3%)を受けた場合パラメータ西宮市の事例に基づいたCASE1豊田市民へのアンケート調査の結果を反映させたCASE2 災害のシナリオですが、合併前の豊田市のうち52小学校区域を対象としました。シナリオの書き方は難しいんですが、1つ目は市内全域において人口の1%の方がけがをした場合、2つ目は市の南部、ここでは301号線よりも南部、東海地震や東南海地震を意識したんですが、そちらのほうでやや大きな被害を受けた場合。こういう2つのシナリオを用意するとともに、パラメータについても西宮市の事例に基づいたケース1と、「あなた、けがをしたらどこへ行きますか」という豊田市民の方へのアンケート結果をこのモデルの中に組み込みまして、チューニングを行ったケース2について計算をしてみました。各医療機関へ向かう傷病者予測対象地域で一律に被害を受けた場合0200400600800100012001400ABCDEFGHIJKLMNO人数(人)CASE1CASE2南部での被害を大きく想定した場合050010001500200025003000ABCDEFGHIJKLMNO人数(人)CASE1CASE2 その結果です。A病院というのは加茂病院のことです。加茂病院あたりになると、けがをすると1,000人以上の方が一気に押し寄せるということです。それから、G病院、J病院も少し大きな値となっています。その一方で、それ以外の市内の救急告知病院については200人に満たないぐらいしか来ないだろうという結果が出てきました。傷病者集中への対策A病院、G病院、J病院への傷病者の集中を防がなくては、災害時の混乱に、多くの傷病者が巻き込まれるおそれがある。多数傷病者に対応できるような交通インフラの整備が必要。ヘリポート、応急救護所の展開とアクセス
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