平成18年度 研究成果報告会開催記録
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--15である交通事故、安全の問題は、自動車の関係で最大の課題と考えています。年表で見てもお分かりかと思いますが、かなり最初の段階から取り組んでいます。警察等のご協力をいただいて、どの地域でどういう交通事故がどのように起こったかというデータをかなり細かく蓄積していますので、その活用がわれわれに求められています。 具体的には、地区において小学校などで交通安全の状況をお知らせしたり、ヒヤリハット地図というやり方もありますが、住民の皆さんが持っている情報とあわせて交通安全対策につなげたいという希望を持っています。さらに、ITSなどの新しい情報技術や車の技術を取り入れながら地区の安全を図っていくことは、これからの実験課題だろうと思います。これは研究所だけでできる仕事ではありません。警察当局、道路管理者、もちろん自動車メーカーとしての技術、さらに一番重要なのはやはり地元の住民の皆さん、ドライバーの皆さんのご協力を仰ぎながら進める共同事業だと思っています。 4つ目は、渋滞対策とTDM(交通需要マネジメント)です。交通の需要といいますか、いかに交通の使い方を変えていくか、あるいは、車の使い方をいかにお互いに調整していくかということが大きな問題となっています。特に豊田市の場合、皆さんが好き勝手に車を使うと、渋滞の問題、大気汚染の問題、事故の問題等、いろいろな問題が発生します。 最近は全国的に、運転主体、企業の皆さん、事業者の皆さんと一緒にやる企業TDMあるいはモビリティマネジメントがされていますが、研究所としても、車の利用の仕方や公共交通の利用促進の仕方を含めて大きなテーマと思っていますし、それを通して渋滞対策も進むと考えています。渋滞は道路をつくれば解決する問題ではないとはっきり分かってきていると思います。特に都市部においては、道路をつくれる量が限られています。道路をつくっても駐車場が足りなくなったり、駐車場をつくっても道路が足りなくなってきたり、施設をつくれば車が増えてしまうということで、自動車以外の交通手段、公共交通その他とのバランスをとることが大変重要な課題です。そういう意味で、交通需要マネジメントは、車の特性を生かしながら、どのようにうまく使うかというテーマにつながる課題だと思っています。 現在、このような形で4つの主要研究分野に分けて研究を進めています。具体的な研究活動の状況は、お手元の資料等に細かく記載してありますので省かせていただきますが、出版物、あるいは、今日のような講演会、シンポジウムという形で情報発信をしています。 その次に、「新たな取り組み」と書いてありますが、実は、別に特別新しいことではなくて、こういった分野を拡大強化したいということです。これまで以上に大学・学会等、専門家との共同研究を増やしていきたいと思っていますし、市民の皆さんやNPOの皆さんと一緒に取り組むことが実践的な研究に不可欠だと思っています。皆さんにいろいろ教えていただきながら、学習しながら、こういった研究を進めているということです。 以上、非常に簡単ですが、研究所の今までの研究活動の概要と、それから、今、主眼を置いている点についてお話しいたしました。 次に、豊田市の交通問題に対して、豊田の交通まちづくりという形で少し個人的な見解をお話ししたいと思っています。配布資料(11頁)には「“21世紀の交通まちづくり”に向けて」と書いてありますが、3年前の所長就任のときの記念講演でも同じようなお話をしました。そのメモを取り出して、それからどれだけ進歩したのか見てみましたところ、3年間でやはり少し考え方も変わってきているようです。時代の動きもあるのかなと思っています。あくまでも個人的な見解ですが述べることとします。 少なくとも私の1つのスタンスは、成熟した21世紀にふさわしい成熟した“新しい車”をまずつくってもらって、トヨタは世界を先導してそういうものをつくりつつあるわけですが、そういったものを
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