平成17年度 研究成果報告会開催記録
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-15- 線の消去前後で裏通りか表通りかの意識が変わっています。実は、提示した12枚の中に、中央線消去前に撮った写真と消去後に撮った写真がありました。同じ通りなのですが、消去前のほうは表通りとする割合が高くて、消去後は裏通りとする割合が過半数になっています。このように少し構造を変えるだけで認知が変わることが分かりました。 なお、抜け道の利用頻度と認知との関連についても分析したのですが、関連はありませんでした。 交通量調査を実施した寿地区で見てみると、寿地区の道路は左側に示す道路と類似しており、ほとんど裏通りと認知される道路です。したがって、寿地区を通過するドライバーは明らかに抜け道と認識した上で利用していると分かります。一方、白山地区は右側に示すような表通りか裏通りか迷うような道路です。先ほど交通量調査で示したように、抜け道として利用されるが、一般的なアクセス利用もあるというように、利用の仕方も混在している感じになっています。 以上、まとめますと、交通調査から抜け道と指摘された路線でも、利用のされ方が違う場合があるということがまず分かりました。2カ所しか調査していないので、他でもやってみると少し違った結果が出るかもしれません。それから、調査対象地域においては、非常に多くのドライバーが抜け道を認知していて、しかも利用しているという現状が把握されました。また、抜け道利用頻度に関連する要因やドライバーの特性などを明らかにしました。さらに、抜け道と視覚的認知と利用の関連性を把握しました。表通りと裏通りの認知(1)表通りと裏通りの認知(1)特徴:・幅員が狭い・沿道に住宅がある9割以上のドライバーが裏通り(抜け道)裏通り(抜け道)と答えた路線表通りと裏通りの認知(2)表通りと裏通りの認知(2)特徴:・中央線(分離帯)がある9割以上のドライバーが表通り(幹線道路)表通り(幹線道路)と答えた路線表通りと裏通りの認知(3)表通りと裏通りの認知(3)中央線消去前後の比較表通り,86%裏通り,14%消去前表通り,45%裏通り,55%消去後非幹線道路の認知には沿道環境や中央線の有無が関係抜け道の利用頻度と認知には関連性がないことも判明寿地区(抜け道)と酷似白山地区(アクセス道)と酷似表通り,86%裏通り,97%裏通り,14%表通り,3%0%50%100%No.9No.2表通り,45%表通り,86%裏通り,55%裏通り,14%0%50%100%No.9No.2抜け道と認識した上で、通行しているアクセス利用と抜け道利用が混在しており、認知でも混在まとめまとめ•交通調査から抜け道と指摘された路線でも、利用のされ方の違いを明らかにした。•調査対象地域において、多くのドライバーが抜け道を認知し、利用している現状を把握した。•抜け道利用頻度に関連する要因やドライバーの特性等を明らかにした。•抜け道の視覚的認知と利用の関連性を把握した。以上より、道路ランクの認知に関わる道路構造とドライバーの心理を融合させた「抜け道」対策が有用と考えている。

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