平成17年度 研究成果報告会開催記録
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-13- ている人は、当然、「よく・必ず利用する」割合が高い。交通状況やこれまでの経験に基づいて抜け道を利用している人も全体として高くなっています。 これを細分化していくと、習慣的に抜け道利用するドライバーは、抜け道利用に関する一般的な問題意識によっても分かれて、「よく・必ず利用する」割合が高い人は問題意識が薄い人となっています。さらに、問題意識の薄い人は、抜け道をどうやって知ったかという抜け道の認知方法で、「自発的に探した」という人も多くなっています。 一方、交通状況、経験に基づいて抜け道を利用するドライバーについては、利用時の行動目的によって分類でき、通勤や業務で抜け道を利用する人は、「よく・必ず利用する」という割合が高くなっています。さらに、渋滞箇所をたくさん知っている人、10カ所以上知っている人は、圧倒的に「よく・必ず利用する」という割合が高いというようにドライバーを分類できました。 続いて、抜け道利用と運転特性の関係を分析しました。抜け道の利用に関連すると考えられる運転特性(運転行動・意識)をブレーンストーミングで19項目挙げて、その項目をアンケートしました。「かなり当てはまる」から「全く当てはまらない」まで、4件法で聞いています。その結果を因子分析を使って分析しました。因子分析によって、多様な運転特性を単純化して軸に分けることができます。結論を言うと、16項目の運転特性項目で3つの軸(因子)に分けることができました。 第1因子は、「抜け道を使うことで本当に時間が短縮されていると感じる」、「幹線道路が渋滞していれば抜け道の利用も仕方がない」という意識と非常に相関の高い因子です。つまり、利益追求という特性を表していると解釈しました。第2因子は、「住宅街では特に注意して運転する」、「狭い道路はなるべく使いたくない」という安全運転を心がけるような運転特性と相関が高いということで、安全志向という因子になるだろうと思います。最後の、「信号待ちはイライラする」、「渋滞しているときは割り込みをさせない」といった意識は、自己中心的運転特性と言えます。結論を言えば、この3つの因子によって運転特性を分類することができたということです。 これを基にドライバーをグループ化すると、3つに分かれます。例えば、Aグループは利益追求が高く、安全志向も割と高い。Bグループは、利益追求が低い。これらのグループと抜け道利用の頻度についてクロス集計をとってみると、抜け道利用に関わる運転特性分析抜け道利用に関わる運転特性分析探索的因子分析主因子法:プロマックス回転抜け道の利用に関連すると考えられる運転特性(運転行動・意識)・・・19項目各質問項目の回答→4件法「かなり当てはまる(1点)」~「まったく当てはまらない(4点)」初期の共通性の検証を経て因子負荷量の低い項目を取り除き、16項目の運転特性項目にて潜在因子を探求観 測 変 数第1因子第2因子第3因子抜け道を使うことで本当に時間が短縮されていると感じる0.6690.064-0.090幹線道路が渋滞していれば、抜け道の利用も仕方がない0.658-0.0310.132住宅街では特に注意して運転する-0.2060.4860.031子供の飛び出し注意の看板を見ると減速するようにしている-0.1020.4780.149狭い道路はなるべく使いたくない0.3210.4630.030多少遠回りでも動いている道路を使いたい-0.064-0.4290.242他のドライバーや歩行者に進路を譲るほうだ-0.2310.4390.276あまり知らない道路は使わない0.2920.433-0.096信号待ちはイライラする0.140-0.0870.621信号が黄色に変わった瞬間はまだいけると思い運転する0.143-0.1500.506渋滞しているときは割り込みをさせない-0.216-0.0240.436ぼーとして運転する0.0370.1010.426Kaiser-Meyer-Olkinの標本妥当性0.690Bartlettの球面性検定の有意水準P<0.01運転特性の潜在的要因運転特性の潜在的要因利益追求安全指向自己中心ドライバーの類型化ドライバーの類型化各ドライバーの因子得点を用い、クラスター分析による類型化クラスターの階層化Ward法グループ間の距離平方ユーグリット距離グループn利益追求安全指向自己中心A1390.6360.5140.372B148-0.7360.1450.254C1180.175-0.787-0.756因子得点の平均値利益追求が高く、安全指向が高い利益追求が低い安全指向が低く、自己中心でない
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