平成17年度 研究成果報告会開催記録
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-8- 共同研究報告「通過交通とドライバーの意識との関連」 嶋田 喜昭 大同工業大学助教授/橋本 成仁 こんにちは。大同工業大学の嶋田でございます。 この研究は、昨年、一昨年の2年間、研究所との共同研究として、研究所の橋本研究員と議論をしながらまとめたものです。タイトルは「通過交通とドライバーの意識との関連 -豊田市を事例として-」ということでご報告いたします。 まず通過交通の問題です。写真のように、都市部では、朝夕のラッシュ時に幹線道路の渋滞を回避するため、通過交通が住宅街の生活道路に流入しています。これによって、沿道付近住民の生活環境が悪化するといった問題が引き起こっています。 ここで、通過交通にかかわる既往研究を見てみると、通過交通の実態とその要因を分析したものや、通過交通対策として国や県が行っているコミュニティ・ゾーン形成事業や交通静穏化策などにおける、狭窄(きょうさく)やハンプといった物理的デバイスの効果を検証した研究、それらの対策を実施したときの地域住民の反応や評価の研究が多くなっています。しかし、道路を利用するドライバーの意識の面から通過交通対策について検討したものは意外に少ないので、本研究ではその面からアプローチしました。 通過交通といっても一般にはなじみがあまりないということで、本研究では「抜け道」利用という言葉を使っています。抜け道という言葉は一般的に使われていますが、はっきりとした定義がありません。そこで、本研究では次のように定義づけをしています。抜け道とは、「ある目的地に行く途中で国道や県道などの幹線道路を避け迂回する道路をいい、それを利用することで時間や距離をうまく短縮できると思われる道路を意味する。抜け道に対応する幹線道路があることを前提とし、一般に路線バス等が通っていない道路とする」と定義づけをしました。 研究のフローと目的ですが、まず、【A】抜け道における交通調査を行って、抜け道利用の実態を把握します。また、次がメインですが、【B】通過交通の問題通過交通の問題都市部では幹線道路の渋滞を回避するため、住宅街等の生活道路に通過交通が流入付近住民の生活環境の悪化通過交通に関わる既往研究通過交通に関わる既往研究①通過交通の実態とその要因分析②コミュニティ・ゾーン形成事業・交通静穏化策などにおける物理的デバイスの効果検証や、それら対策の地域住民の評価ドライバーの意識構造面ドライバーの意識構造面から通過交通対策について検討したものは少ない通過交通と「抜け道」利用通過交通と「抜け道」利用ある目的地に行く途中で国道や県道などの幹線道路を避けて迂回する道路をいい、利用することで時間や距離をうまく短縮できると思われる道路を意味する。抜け道に対応する幹線道路があることを前提とし、一般に、路線バス等が通ってない道路とする。「抜け道」の定義本研究では、「生活道路等に流入する通過交通」を一般に分かりやすいよう「抜け道」利用と呼ぶ。

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