平成17年度 研究成果報告会開催記録
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-5- す。その間にはいろいろな関係があり、うまく働くように、行政はこの中心市街地をどうするのかという全体のビジョンをみんなと話し合ってきっちりつくる。それを皆さんが合意するまで話し合って、問題を本当に自分たちのものにするところが重要だと思います。 これは太田先生の図です。左側が従来のプロセスで、専門家、大学の先生あるいは研究所が行政に向かって、審議会に出ていろいろなことを言うのが主だったのですが、今はそうでもありません。NPOの人たちが非常に重要な役割を示す場合もあるし、市民の人たちやある企業のコミュニティが何かを提案して、コミュニティバスを走らせるということもあります。専門家が行政はこうだと言うのではなくて、NPOの活動がこれらの活動を支えるような客観的な専門的な提案を行政にしていく必要があります。 豊田市には豊田都市交通研究所があります。研究所とコンサルタントの何が違うかという議論もあるかもしれませんが、コンサルタントは、仕事をやる際には「うちが一番安くやります」と手を挙げて、いつのまにか専門家がいなくなることもあります。豊田都市交通研究所は、豊田市をどうするか、豊田市をよくしたいという思いでずっとやってきているわけですから、豊田市のまちのお医者さんとして、行政、コミュニティやNPOに強くかかわっていくということが必要でないかと思います。 これらの関係を第3部の展開で考えてみます。視点の変え方、見方の変え方をどうするかということですが、交通が都市の中で非常に重要だというのは誰でも分かっています。交通手段がしっかりしていなければ、働きにも行けないし、コミュニティにも行けないし、人にも会えないし、いろいろなことができません。豊田市は土地利用が分散していますから、生活していく上で満足するような形で豊田の中を移動するためには、道路サービスがしっかりしていなければいけません。 その状況の中で豊田市の活力を高めるということを考えます。例えば、自宅と離れたところに病院が2カ所あるとします。高齢者は、朝2時間と午後3時間の自由な時間があって、出掛けることができる。その2時間の時間を使って、高齢者は出掛けて帰ってくる。その時間でどこまで行って帰ってこられるかというのは、ジェット機でも乗ればニューヨークへ行けるし、歩いて行けば豊田しか行けないしということで、利用できる交通手段、速度にかかわります。一方、Aという病院は午前中だけ開いて午後は閉まっている。Bは午前も午後も開いている。この人が午前市民・企業・行政の「協働」を支える市民・企業・行政の「協働」を支える第二部役割市民商店主(都心NPO)交通事業者参加顧客サービス料金支払行政再生ビジョン/パッケージ施策/計画制度交通サービス提供参加契約たとえば、中心市街地では研究所の役割研究所の役割第二部役割出典; 太田勝敏、市民参加と「交通まちづくり」の勧め、34-5、1999年9月、p. 1-2
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