高齢ドライバーの人間特性と運転行動を考慮した危険事象の推定
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1 令和2年交通安全白書(内閣府)2023.3.31最終閲覧 1 1.はじめに 1-1.研究背景 高齢ドライバーが関わる交通事故の低減は重要な社会課題である.交通安全白書でも度々高齢運転者の交通事故や交通安全が特集されており,たとえば令和2年の交通安全白書ではこれまでの高齢ドライバーに関する道路交通法改正の変遷等の対策が整理されている.その背景として,高齢ドライバーの増加や死亡事故の推移が挙げられる.たとえば,図1-1は,運転免許保有人口10万人あたりの高齢ドライバーによる死亡事故件数の推移を整理したものである.全体的な死亡事故件数は年々減少傾向にあるものの,75歳未満のドライバーに対して,75歳以上,80歳以上の高齢ドライバーの死亡事故件数は多い.この傾向は,令和2年以降も認められている1). 図 1-1 免許人口10万人あたり高齢運転者による死亡事故件数の推移1 高齢ドライバーの交通安全対策の一環として,70歳以上のドライバーには運転免許更新時に高齢者講習や認知機能検査の実施が義務付けられている.この内容や実施方法は度々見直され,たとえば令和4年の道路交通法改正では認知機能検査の検査方法の変更,高齢者講習の一元化,運転技能検査の新設が施行されるなど交通安全に向けた様々な試みがなされている.しかし,その一方で高齢者講習や認知機能検査を実施するハード面には課題も提起されている. 高齢者講習や認知機能検査は,運転免許更新手続きに先立って自動車教習所や運転免許センターで行われる.高齢者人口の増加に伴って高齢ドライバー人

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