4-2.危険事象に関するデータ収集時期の影響 が有意であるという共通の傾向が認められた.3mと6mは,TMT Part Aと走行距離グループが有意であり,年齢,TMT Part B,静止視力が有意傾向であるという共通の傾向を示した.12mでもTMT Part Aは同様に有意だったが,年齢,TMT Part B,走行距離グループは有意傾向であった.この結果は,3m,6mと比較的似ているものの,他のデータ収集期間とは異なる傾向といえる.これらの結果から,データ収集期間によって回帰モデルの構成が変わる可能性が示された. 次に,各モデルを用いて予測値を算出した.その際,年齢は75歳,走行距離グループは高群,その他の変数は中央値に設定した.図4-2は,モデルごとに算出した走行距離に対するRDE件数の予測値をプロットしたものである.図4-2から,データ収集期間ごとに予測値に差異があり,2wモデルは他のモデルよりもRDE件数が少ないことがわかった.3mモデルと6mモデルの予測値はほぼ重なっており,最もRDE件数の多い12mモデルの予測値と近接していることが示された.1mモデルの予測値は,2wと3mおよび6mの中間に位置する傾向がみられた. 走行距離等の運転習慣は,月や季節によって変動する.これは高齢ドライバーも同様であり,特に冬期は走行距離が他の時期に比べて短いことが知られている9)10).Smithら10) は,この季節間の違いを,活動を維持しつつ冬期の交通状況に適応するための行動であると説明し,補償行動としての運転制限について言及する際には季節を考慮することが重要であると述べた.また,Yangらは,交通事故統計を用いた交通事故件数のシミュレーションにおいて月ごとの変動を考慮した11).RDEも交通事故や運転習慣のように時期によって変動するならば,交通環境の悪化が予想される冬期はRDE件数が多くなると考えられる.し26 図 4-2 交通事故統計の月次変化
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