4.運転モニタリングの方法論に関する考察 20 DAHLIA-DBの一部のドライバーからは,1年以上の長期間の運転行動データが得られている.このデータを活用すれば,データ収集期間の長さや時期が運転これまでの分析の過程において,運転行動データの統制が課題であった.たとえば,記録期間が異なる,つまりデータ量の少ないドライバーとデータ量の多いドライバーの統計値を同一のものとみなすことができるか,それが問題な場合にどれだけのデータを使用することが妥当であるのか (データ量 (期間)),また,制限する場合にデータ収集時期は考慮すべきか,といった問題が挙げられる. 運転モニタリングに関する研究を概観すると,映像や加速度,GPS情報など取得されるデータの種類はほぼ一致している.それに対して,データ収集期間は研究によってさまざまである.たとえば,表4-1のうち,SHRP IIなどの研究プロジェクトは,長期間の運転モニタリングデータを収集してデータベース化し,そこからデータを分析する研究者が必要なデータを選択している.「その他」に示した個別研究のデータ期間は幅広いが,その計測期間を設定した根拠を明記した研究は少ない.また,1年未満の記録期間の研究でも時期の影響についてはあまり言及されておらず,運転モニタリングデータの分析にとって望ましいデータ量や収集時期についての情報は少ないというのが現状である. 行動におよぼす影響について確認することができるだろう.そこで本研究では,さまざまなデータ収集期間やデータ収集時期の運転行動を比較し,その特徴や相違点を探ることとした.この知見は,運転モニタリングの方法論の確立に寄与するだろう.さらに,研究への応用に限らず,健康診断で検体を持ち込むように,実車指導や運転相談に自家用車のドライブレコーダから得られた運転モニタリングデータを持ち込む際に適当なデータの策定にも有用な情報を提供するだろう.
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