2-2.分析に使用した人間特性データ 2-3.分析に使用した運転行動データ 6 2022年に名古屋大学COIは終了したが,現在DAHLIA-DBは名古屋大学青木宏文研究室 (人間加齢特性研究室および一般社団法人モヒートラボ) で維持・管理されている.本研究では,青木研究室の許諾を得て,データを使用した. DAHLIA-DBは,人間特性データと運転行動データの2種類のデータから構成されている4).人間特性データには,認知機能検査や視覚機能・眼科的検査,運転適性検査器 (反応時間計測等) によって取得された成績や,身体計測情報,運転に関する意識や態度についての質問紙に対する回答などが含まれている.本研究では,これら人間特性データのうちの認知機能検査,視覚機能検査,運転に関する意識や態度についての質問紙の回答等の一部のデータを使用した. また,運転行動データは,自家用車に取り付けられたドライブレコーダデータや実験車に取り付けられた各種センサからのデータ,ドライビングシミュレータを用いた運転実験データを含んでいる.それぞれ,ドライブレコーダデータは日常の運転行動を,実験車のデータは特定の交通環境での詳細な運転挙動を,ドライビングシミュレータデータは統制された運転行動を反映している.これらの運転行動データのうち,本研究ではドライブレコーダデータを使用した. DAHLIA-DBに収録された人間特性データから,本研究ではMini-Mental State ExaminationやTrail Making Test (Part AおよびB) といった認知機能成績,視力やコントラスト感度といった視覚機能成績,対処行動アンケートや運転スタイルチェックシート (Driving Style Questionnaire: DSQ) といった運転に関する意識・態度の回答を分析に使用する変数として採用した (各項目の詳細については,山岸ら4) を参照).これらの項目は,先行研究において高齢ドライバーの特徴を記述する際に使用されるとともに,これまでの執筆者の研究において危険事象に関連することが示されている. DAHLIA-DBのドライブレコーダデータを使用した.データ収集に用いられたドライブレコーダは,前方の映像を撮影するカメラと加速度センサ,GPSを内蔵した装置だった (BU-DRHD421,Yupiteru社製).データ収集は,参加ドライバーの同意取得後,ドライブレコーダを装着してから開始された.参加ドライバーには特別な教示は与えられず,普段の通りの運転が求められた.データはドライブレコーダ本体に挿入されたSDカードに保存され,約3か月に1回のペースで人間特性研究室と郵送でSDカードのやり取りを行うことで収集された.参加ドライバーには,定期的に研究参加継続の可否が確認された.その際,中断を希望した参加ドライバーについては,ドライブレコーダが取り外され,データ収集も中断した.その後,新たにDAHLIA-DBに登録した別のドライバーから
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