1.はじめに 1-1.背景と目的 多様な主体が利用する生活道路では,様々な主体の行動をいかに安全側へ促せるかが重要な視点となる.国土交通省,警察庁は,物理デバイスの導入を前提とする「ゾーン30プラス」の検討を進めているが,それは交通規制単独での実効性への懸念が背景にある.豊田市内でも住民が実効性の懸念からゾーン30の在り方に対しての対応を検討し始めている地区(井郷)もあるなど,居住者の身近な道路という観点からの空間整備の合意形成や維持管理を含めた議論もある.「みち」の在り方のダイナミズムのなかでも,いわゆる「生活道路の空間マネジメントの在り方」への希求が今まさに求められているのではないか.過去の成果を振り返りつつ,これからの豊田市におけるあるべき生活道路像を目指すための基礎的な検討を進めることは,意義がある. 本研究は,これまでの生活道路対策,なかでも広く普及するゾーン30に主眼を置き,これからの豊田市における安全・安心かつ持続可能な「生活道路」空間マネジメントに関する基礎的な考察をすることを目的としている. 1-2.検討の枠組み 本研究の検討の枠組みは図 1-1及び以下に示すとおりである. (1)生活道路空間の整備に関する既往研究の整理 生活道路の対策内容別の既往研究を整理し,生活道路対策別に課題となっている特徴を明示する. (2)対策実施にかかるプロセスの把握 生活道路空間整備の代表的対策であるゾーン30を事例に,道路/交通管理者へヒアリングを実施し,対策の検討過程やその際の課題,取組姿勢などの実態を把握する. (3)生活道路に対する住民意識の把握 生活道路に期待する住民の意識や整備に関する当事者意識を把握し,住民側からの発意を喚起しやすい政策的方向性を検討する. 1
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