36 ①がこれまで取られてきている一般的な行政による方法であり,②〜④が道路維持管理において当事者意識が要求されるであろう地域住民,道路利用者,沿道企業・組織による支援での方法である.支援の方法としては,現実的な対応を想定し,住民,沿道企業・組織は人的・金銭的なものを提示しており,道路利用者は金銭的な支援のみを提示した.これらについて,それぞれの道路別に「とてもそう思う」〜「全くそう思わない」の5件法にて回答を依頼した. 分析・考察方法 まず,道路の個別価値に対する意識について,道路種別および整備地域別による傾向を整理する.つぎに,因子分析による価値の集約を行った結果を用いて,それぞれの道路の価値に対する意識と地域住民による道路の維持管理に対する意識の関係性を分析する.当該結果の解釈を通じて,地方都市の生活道路の道路整備・維持管理における住民の当事者意識の醸成について考察する. 4-3.結果 生活道路の価値に対する意識の基本傾向 表 4-2に道路種別別・整備地域別の道路の価値に対する意識を示す.本結果は,回答項目を得点化(最大2,最小-2)している.全体の傾向から,道路の価値に対する意識が比較的高いのは,「交通事故にあう危険性が低いこと」,「犯罪にあう危険性が低いこと」といった安全・安心に関わるものであった.対照的に,価値に対する意識が相対的に低いのは,「空間ににぎわいがあること」であり,値がマイナスとなる,すなわち重要でないといった反応がみられている箇所もみられた.その他,「小型電気自動車やトラクターなどの速度の遅い車両が通りやすい,使いやすいこと」もマイナスの値こそみられないものの,相対的には低い値となっている. 生活道路と幹線道路では,大きな違いはみられない価値が多いが,「自動車が通りやすい,使いやすいこと」,「こどもが通りやすい,使いやすいこと」「空間ににぎわいがあること」ではある程度の差が生じており,「こどもが通りやすい,使いやすいこと」は,特に生活道路でその価値を高く意識していることがわかる. 整備地域別による違いは顕著にみられている.まず,「小型電気自動車やトラクターなどの速度の遅い車両が通りやすい,使いやすいこと」を除き,幹線道路では概ね中心市街地>郊外>中山間地域の関係性で価値が高く意識されている.他方,生活道路では,「歩行者が通りやすい,使いやすいこと」「自転車(チャリンコ)が通りやすい,使いやすいこと」,「高齢者や障害のある方が通りやすい,使いやすいこと」「こどもが通りやすい,使いやすいこと」といった交通弱者の使いやすさについては郊外>中心市街地>中山間地域の関係性で価値が高く意識されている.さら
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