これからの「生活道路」空間マネジメントに関する研究
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エリア設定物理的デバイス等の設定※():発言者 (警察発意ゾーン30) ・既存の「あんしん歩行エリア」(B市) ・状況がわかりやすい警察署近辺(小中高がある,など)で設定(当初)(C市) ・区画整理が進められていたエリア(A市) (住民発意ゾーン30) ・町会単位で要望があり,設定に際する規定(幹線に囲まれる,等)を踏まえて調整.複数にまたがる場合は,まとめ役の地元代表と調整を実施(A,C市) ・要望エリアが広域である場合,分割したり,まずは要望の一部エリアのみ調整するなどで対応(C市) (狭さくの検討) ・ゾーン内の抜け道で速度超過車両が減らなかったことから検討(B市) ・交通指導員から道路管理者に検討要望.道路管理者と地元警察署で検討し実施(B市) ・地元代表に働きかけ地元住民に意見聴取を依頼.特に大きな町会では交通の役員がおり,調整役となってもらえる(C市) ・整備後,走行しづらくなったとの意見を受けて整備内容の再調整を実施(A,C市) (その他) ・教育委員会が主導し,通学路の合同点検を実施している.そこで要望として上がったものについて地元調整を進める(C市) ・物理デバイスが導入されている県内のゾーン30は全体の1割程度.設定時にすでに導入されている例も多く,ゾーン30導入後に限るとさらに少ない(警察) 20 内容 表 3-5 エリア及び物理的デバイス等の設定プロセス 整備エリアの特性分析 道路管理者へのヒアリングの結果,整備エリア数は自治体によって近年まで整備されている例とそうでない例があり,近年でも整備される場合,それは住民発意によるものになっている傾向がうかがえた.これは,警察ヒアリングでの「近年の整備は住民発意によるものが多い」といった指摘を支持するものである.冒頭で述べた通り,警察庁は当初,2016年度までに全国で3,000箇所といった目標を設定した.端的に考えれば,2016年度以降の整備は少なくとも警察発意によるものは大きく減少している可能性がある.この点から,ゾーン30整備の時系列的な整理,特に2016年度前後での整備傾向を分析する意義は,発意者の違いによる特徴を理解するうえで少なくないと考える. さらに,住民発意のゾーン30整備の推進に際して,同規模の自治体であるにも関わらずそこに差異が見られた.この要因について,地域特性の影響−例えば,交

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