推進て(につい通達) 10 一方で,ゾーン30については具体的な個々の交通安全対策(ISA,ハンプ,カラー舗装等)に着目したものが多く見られるが,ゾーン30事業に対する住民意識に関するもの,導入プロセスにおける課題を整理したもの等,事業導入推進の直接的な影響要因であると思われるものに関する既往研究は比較的少ない.これは共通点の多いコミュニティ・ゾーンについての既往研究において,これらに関するものがすでに多く存在することが背景にあるかもしれないし,そもそも最高速度規制という警察が主導となる対策であるため,導入プロセスにおける課題がそれほど想定されていなかった可能性もある.他方で,ゾーン30の中には住民の要望により整備される例も少なくない.きわめて多くの整備事例のあるゾーン30の事業プロセス,住民関与の影響を整理していくことは,住民合意が前提となる物理的デバイスの設置が規定される生活道路空間であるゾーン30プラスの推進に少なくない知見を与えるものになるのではなかろうか. 参考文献 1) 青木英明・久保田尚:歩車共存道路における交通鎮静化の動向とその展望,都市計画論文集,25,pp.763-768,1990 2) 警察庁HP:生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」の,https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei_0826_zone30plus.pdf(2023.2.24最終閲覧) 3) 三村泰広・樋口恵一・菅野申明・向井希宏・加藤秀樹・小野剛史・安藤良輔:ゾーン30の認知が運転者の安全運転行動に与える影響分析,土木学会論文集D3(土木計画学),70(5),pp.I_597-I_604,2014 4) 三村泰広・樋口恵一・安藤良輔:自治区における歩行者・自転車事故実態とゾーン30導入意向の関係性分析,都市計画論文集,48(3),pp.417-422,2013 5) 三村泰広・橋本成仁・嶋田善昭・安藤良輔・吉城秀治:周辺土地利用と生活道路の理想的性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究-豊田市におけるケーススタディ,土木学会論文集D3(土木計画学),71(5),pp.I_711-I_723,2015 6) 竹井宏和・澤田健一・山田陽・池水丈明・梅田岳明・橋本千裕:兵庫県南あわじ市における生活道路交通安全対策の取り組み,交通科学,51(2),pp.3-10,2021 7) 竹本由美:生活道路の安全対策とバリアフリー(特集),福祉のまちづくり研究,21(2),pp.38-41,2019 8) 橋本成仁・佐伯亮子・吉城秀治:ドライバーから見た生活道路における面的な速度規制の実現に向けた規制速度の決定方法に関する研究,都市計画論文集,
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