7 今後は生活道路対策エリアに代わり,最高速度30km/hの区域規制と物理的デバイスとの適切な組み合わせにより交通安全の向上を図る区域をゾーン30プラスとして設定する方針が示されている2). 論文の傾向 生活道路対策エリアの簡単な紹介を行ったもの7)21),研究対象地域(対象候補地)としているもの6)22)が見られた.しかし,本稿の整理の視点で生活道路対策エリアに焦点を当てた研究は見られなかった. 2-6.あんしん歩行エリア あんしん歩行エリアの概要 あんしん歩行エリアは,我が国において2003年度(平成15年度)に796地区,2008年度(平成20年度)に582地区が指定された面的な交通安全対策である.歩行者・自転車の安全な通行を確保するために緊急に対策が必要と考えられる住居系地区または商業系地区を対象とし,主として速度規制,駐車禁止,車両通行止め等の交通規制,規制標識の高輝度化・大型化等を実施している. 論文の傾向 あんしん歩行エリアを研究対象地区とした交通安全対策に関する研究が散見され23)24),例えば,三谷ら23)は,兵庫県のあんしん歩行エリア内の地区を対象とし,交通規制と交差点におけるカーブミラーの設置による交通安全対策整備の現状を調査している.結果,カーブミラーに関して,他の箇所との整合不足や機能低下等の施設管理上の課題が見られる地点が多くあること,カーブミラーの特徴(左右の逆転,遠近感)の誤認をしている人が一定数いること等が明らかとなっている. また,生活道路における交通安全対策導入時のプロセスや導入課題について検討したものとして,日野ら25)は,市民の参画と協働による交通安全対策を行う「協働型取り組み」に着目し,これまでの実践的事例実績から協働型取り組みの特徴と課題を整理している.結果,官民が議論することで,議論と合意の重要性に対する理解を深める効果があること,協議会参加者の相互学習のプロセスが有意義であること等が示されている. 2-7.コミュニティ・ゾーン
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