これからの「生活道路」空間マネジメントに関する研究
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6 した対策へと移行しつつあることや,国相互の影響関係も無視できないことを明示している.薬袋18)は,オーストリアでのゾーン対策の内容と利用状況に着目し,ウェブ上での情報収集に加えて,オーストリア現地での調査を行っている.結果,欧州のいくつかのゾーン対策についての利用実態や整備状況に加え,ゾーン対策にあたっては市民の関わりが積極的にあることが,良い結果を導いていることを示している. 2-4.キッズゾーン キッズゾーンの概要 キッズゾーンは,我が国において2019年度(令和元年度)に導入が開始された面的施策である.保育所等が行う散歩等の園外活動の安全を確保するために,保育所等を中心に周囲500mを目安に市町村保育担当部局が対象となる保育所等,道路管理者,警察と協議した上で設定する.一方通行規制,一時停止規制等のほか,標識の高輝度化,信号機の歩車分離化等を実施し,2021年2月1日時点で586の施設周辺に設定されている. 論文の傾向 生活道路の交通安全についての既往研究をまとめた総論19),生活道路を中心とした道路の在り方についての整理,考察を行ったもの20)がある.これらはキッズゾーンの紹介程度に留まっており,本稿の整理の視点でキッズゾーンに焦点を当てた研究は見られなかった. 2-5.生活道路対策エリア 生活道路対策エリアの概要 生活道路対策エリアは,我が国において2016年度(平成28年度)に導入が開始された面的な交通安全対策である.道路管理者である市町村が生活道路のゾーン対策を実施しようとする範囲を生活道路対策エリアとして国土交通省に登録する.ハンプや狭さく等の物理的デバイスの設置に合わせた最高速度規制の見直しに加えて,国からの技術支援として交通ビッグデータによる分析結果の提供等を受けながら,警察と道路管理者が連携した生活道路対策を進める.2019年12月末時点で1,065エリア登録されている.

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