歩車分離信号の効果に関する研究
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7. おわりに 40 歩車分離導入の効果を検証するために、下記三つの仮説をまとめる。 (1) 仮説1では、二つ以上の隣接する交差点に歩車分離を導入する場合、一つだけの導入よりも交通の円滑性に影響が少ないと予想される。 (2) 歩行者専用現示を導入した場合、現示の順位によって交通に与える効果が異なると考えられる。 (3) 歩行者流量が多い場合、二つ以上の隣接する交差点に歩車分離を導入すると、交通の円滑性が向上すると考えられる。 検証の結果として、それぞれの仮説に対して下記でまとめる。 (1) 不成立。歩行者が少ない場合には成立しないため、自動車や歩行者の平均遅延時間が増加することが明らかにした。 (2) 歩行者専用現示を導入した場合、現示の順位によって交通に与える効果が異なると明らかにした。現示の相対順位が変化した場合、主道路の交通流への影響は少なく、従道路への影響があると予想される。 (3) 交差点の特徴によって成立する。駅周辺など歩行者が多い場所で効果が期待できる。左折率や右折率などの要因も考慮が必要であり、系統制御の場合は主道路と従道路の交通流量比の考慮も必要と考えられる。 交通の円滑性を高めるためには、多くの場合、複数の要因を考慮する必要がある。例えば、信号の制御方法や車両の速度制限など、交通の円滑性に影響する要因は多岐にわたる。歩車分離の導入や歩行者専用現示の導入など、新たな対策を検討することも重要である。しかし、仮説を検証するには、現場での実データの収集や交通シミュレーションなどが必要と考えられる。 また、交通の円滑性を高めるためには、地域の特性や交通事情に合わせた対策を導くことが重要。例えば、駅周辺の交通事情と都市部の交通事情は異なるため、異なる対策が必要になる場合がある。 最適な対策を導くためには、地域住民や利用者の意見も重要であり、関係者との協働が求められる。交通の円滑性を高めるためには、様々な角度からのアプローチが必要であることを忘れずに、対策の検討を進めていく必要がある。

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