歩車分離信号の効果に関する研究
3/61

報告者:穆蕊 研究分野 業務類型 研究題目または 報告書タイトル 研究の背景・内容 研究結果・ 得られた知見等 研究成果 所内の担当者氏名・ 担当者 協力先名 問題点・課題・今後の研究予定・その他 関連論文(2022年度) (当年報掲載ページ) 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む (背景) ・歩車分離式信号(以下、歩車分離と略称)は歩行者が自動車に阻害されず、特に左折巻き込み事故の防止に効果が期待できる。「愛知県における持続可能な交通安全施設等の整備の在り方」(2021年3月発行、以下「愛交安」と略称):愛知県では歩車分離の整備により、横断歩道横断中事故が約63.6%減少した。今後も、整備数を大幅に増やしていく方針がある。豊田市交通安全計画第11次(2021-2026)でも、歩車分離の整備等を推進する方針が記載されている。 ・一方、地元や住民は、歩車分離が安全になるものの、渋滞の発生や待ち時間の増加などが懸念されており、歩車分離の推進は進めにくい状況である。そのため、地元や住民の心配を解消し、歩車分離の推進をスムーズに進めることが課題となっている。 ・「愛交安」を含めた既往研究では、二つ以上隣接している交差点への歩車分離導入効果の予測に関する研究はない。 (内容) ・2つ以上隣接している交差点(以下、交差点群と略称)に同時に歩車分離を導入すれば、一つだけに導入するより渋滞を解消できるという仮説を立て、豊田市内のある交差点群を対象に複数のシナリオを想定し、平均遅延時間を評価指標としてシミュレーションで検証する。 ・対象となる交差点群は交通事故削減の観点から、豊田市内のすべての信号付き交差点のうち、歩行者通行量や過去の交通事故数、交差点の幾何条件などを考慮して選定する。 ・シナリオについては、それぞれ、交差点群のうち1つにだけ歩車分離を導入するシナリオ、隣接している2つの交差点に歩車分離を導入する組み合わせのシナリオ、交差点群全体に同時に歩車分離を導入するシナリオに加えて、系統制御を考慮した2つの交差点の歩行者専用現示導入後現示順位による効果を想定した2つのパターンを組み合わせた計15のシナリオを想定する。自動車平均遅延時間を減少させる歩行者交通流量の限界条件を求めるため、歩行者交通流量を増加した検証も行う。 ・効果評価については、自動車類や歩行者類それぞれについて、導入前後や交差点群に1つだけ、2つ以上導入した場合の平均遅延時間の変化を評価する。 検証結果について、歩行者が少ない場合に(調査した交差点の最多は186人/時間)、仮説が成立しないことが明らかになる。交差点群に導入する場合、一つずつ導入するよりも平均遅延時間の増加が多くなることが示された。一方で、各交差点歩行者交通流量が500人/時間を想定した検証結果からは、主道路と従道路の自動車交通流量比が低い交差点に歩車分離信号導入の必要がある場合、当該交差点が含まれる交差点群に歩車分離信号を導入することは当該交差点だけに導入する場合より平均遅延時間が少なく、交通の円滑化に寄与することが示唆された。 (社会への貢献) 歩車分離を導入する際に、二つ以上の交差点を同時に導入することで渋滞を解消できるという仮説を検証した。歩行者流量が多い駅周辺などに、交差点群に歩車分離信号導入の検討が考えられる。 (技術の特徴) ミクロシミュレーションを用いて、小規模交通ネットワークにおける歩車分離導入の効果を予測した。サイクルごとに交差点交通調査データを基にして、トリップごとに現況を再現するためのルート生成アルゴリズム(以下、現況再現アルゴリズムと略称)を構築した。 穆蕊 愛知県警察本部交通規制課、豊田市市役所安全防犯課 ・歩車分離の推進は困難であり、歩車分離に関する研究も少ないため、歩車分離導入効果の予測に関する研究が期待されている。 ・上記の現況再現アルゴリズムの計算時間が長いため、アルゴリズムの改善を予定している。 なし 1暮らしを支える交通、2.都市空間を創出する交通、3.交通の安全・安心 1.調査、2解析、3.政策検討、4.その他 歩車分離信号の効果に関する研究 2022度 自主研究概要

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る