歩車分離信号の効果に関する研究
12/61

3 系統青時間高い方は系統制御効果が高い。参考文献:榊原肇,大口敬:2交差点間の系統が、効果が良好な場合は導入により効率的であることが期待できる。一方、効果が悪い場合は導入にかかった費用や時間が無駄になってしまう可能性があるため、導入の前に慎重な検討が必要である。事前検討の一つの重要な手段は予測研究である。現在の交通状況や施設設定ではなく、設計や計画により複数のシナリオを想定し、検討することができる。例えば、歩車分離の導入を検討する際に、現在の交通状況を踏まえて、歩車分離を導入したシナリオを想定し、効果の検証ができる。また、交通条件の敏感度分析あるいは限界条件を求めることも可能。例えば、上記の小川・川居(2008)は一つの交差点に対して、歩車分離導入により円滑性にネガティブな影響を与えない歩行者交通量や自動車左折率の限界条件を明らかにした。 既往研究の極めて多数は一つの交差点を対象として歩車分離導入の効果を分析した。二つ以上の交差点で同時に歩車分離を導入すれば、頭に当たり第一印象として、単純に加算すると円滑性に与えるネガティブな影響は一つの導入よりプラスになるが、隣接している交差点信号制御相互の影響によってポジティブな影響があるかもしれない。そこで、本研究研究内容の1点目は、二つ以上隣接している交差点に同時に歩車分離の導入により円滑性に与える影響を分析する。主に歩車分離導入交差点数の敏感度分析や制御形式組合せの敏感度分析を行う。2点目は、系統制御に伴う影響や系統制御における平均遅延時間変化の敏感因子に関する分析。系統制御により系統青時間3の変化や系統制御における歩行者専用現示の順位が平均遅延時間に与える影響を着目して分析する。最後の3点目は、一つの交差点を対象とした研究と同様に交通条件の敏感度分析を検討する。対象交差点群に対して隣接している最大の3つの交差点を同時に導入した場合に歩行者や自動車全体の平均遅延時間が現状よりほぼ変化なし限界条件を求めることを着目する。 制御に関する考察,交通工学論文集,第2卷,第6号,pp.1-10,2016.10 5

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る