1.はじめに 1 Wi-Fiパケットセンサによる観測データに加え、携帯電話の位置情報に基づく人流データで研究所では、2019年度から2021年度の3年間に渡って、Wi-Fiパケットセンサを用いて豊田市都心の回遊状況に関する評価手法の開発等の研究を実施し、2019ラグビーワールドカップやCOVID-19による中心部の賑わい(人出)の影響、松坂屋豊田店の閉店に伴う中心部の流動変化等を分析してきた。豊田市役所や駅周辺商業施設からは、今後も研究所が新技術等を活用して賑わいや流動変化の評価を続けることに期待が寄せられている。 新型コロナウイルスのパンデミックの影響等を受け、2021年9月30日をもって豊田市駅に隣接する松坂屋豊田店が閉店し、同店が入居していたT-FACE A館の1階~6階をリニューアルした商業施設が2022年3月25日・同4月22日にオープンした。これが豊田市中心部への来訪者や、中心部での回遊行動にどのような影響をもたらすのか等に関心が集まっている。また、それを踏まえた豊田市都心環境計画の推進に資する提案等をしていくことについても求められている。 そこで、本研究では、松坂屋豊田店の閉店および同店が入居していたT-FACE A館(1階~6階)をリニューアルした商業施設の開店が豊田市中心部の流動に与えた影響について、あるKDDI Location Analyzerを用いて、客観的な評価を行う。さらに、これら人流データに関する分析データを豊田市中心部のまちづくりに関わる関係者の間で共有し、豊田市中心部の活性化のために各々の視点でデータを活用してもらうためのデータの可視化・共有環境の検討・構築に取組む。また、豊田市都心環境計画の推進に寄与する提案を検討するにあたり、新たな視点を探るため、これら人流データに基づく客観的な分析結果だけでなく、市民(来訪者)が理想と思う豊田市中心部での過ごし方に関するアンケート調査を実施する。 以上を踏まえ、今後の豊田市都心環境計画の推進に資する知見を整理することを本研究の目的とする。
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