高齢運転者を対象とした経路探索 アルゴリズムの開発
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1 1-1 研究背景及び目的 高齢者の運転支援対策として、安全運転支援システムを装備したセーフティ・サポートカーの普及が期待されている。ただし、新車への買い替え意向の低下、高齢者事故の特徴である出会い頭事故防止への対応の困難さ等が問題点である。高齢運転者にとって、事故リスクの高い道路状況を回避する経路の探索アルゴリズムを開発することが求められている。しかしながら、日本国では、高齢運転者を対象とした経路案内技術に関する研究や知見が極めて少ない現状にある。 そこで、本研究の目的は次の通りである。高齢運転者による交通事故の削減を目指して、デジタル道路地図、交通事故情報及び高齢者のプローブデータを活用し、高齢運転者の事故リスクが低い走行経路の探索アルゴリズムを提案する。また、インタビュー調査やアンケート調査を実施することで、構築したアルゴリズムの妥当性等を確認するとともに、高齢運転者を対象としたカーナビシステムの開発に対する基礎的な知見を得ることで、超高齢社会における安全な自動車利用等に向けた方策提案を行う。 1-2 本研究の学術的意義 本研究の独創性は次の通りである。デジタル道路地図データから得られる車道幅員や交差点形状などの道路構造の情報、警察庁の交通事故オーブンデータから得られる発生位置や事故種別、そして、高齢者が運転する自動車のプローブデータから得られる急加速・急減速箇所の情報等を融合し、高齢運転者にとって事故リスクの高い道路状況を回避する経路の探索アルゴリズムを開発する。これに加えて、高齢者を対象としたインタビュー調査やアンケート調査を通じて、その妥当性を確認する。 また、本研究の新規性は次の通りである。日本国では、高齢運転者を対象とした経路案内技術に関する研究や知見が極めて少ない。この状況を踏まえ、高齢運転者の運転課題(幅員て、事故リスクが低い経路の探索アルゴリズムを開発する。特に、デジタル道路地図、交通事故などの基礎データに加えて、これまでは十分に取り上げられていない高齢者のプローブデータの融合可能性を検討する。 1-3 研究内容 本研究の流れは図 1-1示す。本研究は「現状整理・文献調査」、「カーナビ経路探索アルゴリズムの検討」、「インタビュー調査の企画・実施・分析」、「アンケート調査の企画・実施・分析」の4本柱で研究を推進してきた。 1. 序論 5.5m未満道路での運転の難しさ、無信号交差点での出会い頭の多発など)を詳しく考慮し

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