的地選択において重要視する要因について分析をしている。結果、COVID-19の罹患を危惧するサンプルが74%を占め,今後1年以内の国内観光旅行実施意向を有するのは36%にとどまったこと、感染症対策に関連する全要因を考慮する群の構成比率が最も高く(35%),次いでいずれの対策も考慮しない群の構成比率(22%)が高いことを示している。大畑・氏原27)は、COVID-19の流行前とコロナ禍におけるネットショッピング等の利用頻度と個人属性等の関連性について,特性の異なる地域を対象に分析をしている。結果、実店舗での買い物は首都圏の方がオンラインへの転換が多く,都市規模と感染状況が要因である可能性が高いこと、コロナを機に,女性や年齢が低い人の方がネットショッピング等の頻度が増えていること、ネットショッピング等の利用理由は都市規模による差が見られ,首都圏では移動や商品の持ち帰りの手間を減らすことを,地方圏では実店舗の充実度を補うことを理由としている傾向があること、ネットショッピング等の利用頻度は,人との接触を回避することより,流行前の頻度の方が大きく影響していることを示している。高橋ら39)は、大型商業施設における会員カードの購買履歴から、COVID-19の影響により買い物行動動向がどのように変化したかを把握している。結果、2020年においてCOVID-19の影響により、対象ショッピングセンターから離れたエリアでは、買い物客数や購入額が減少し、来店回数が20%以上減少したこと、ショッピングセンターでの平均滞在時間は、対象施設からの距離や年齢によって傾向に差が見られたことを示している。 (6)行動変容・受容 コロナ禍を契機とした行動変容・受容に着目した研究としては、感染防止にかかる個別行動の実施状況、シェアサイクルの利用実態、全般的な行動変容、リスクに対する態度、ソーシャルディスタンスの変化、救護施設、障害者施設の変化など多岐に渡る知見が積み上げられている。例えば、須永ら11)は、札幌市におけるCOVID-19流行前後のシェアサイクル利用実態の変化について分析している。結果、1日当たりの利用回数がほぼ一貫して増加し,それには登録会員数の増加が寄与していること,平土休日ともに利用がされていること,新規設置ポートが一定の利用回数を獲得するとともに住宅地の既設ポートにおいて利用回数が増加していること,大幅な利用回数増加は,新規会員だけでなく,既存会員の利用回数増加が大きな要因となっていることなどを明らかにしている。岡村ら19)は、「自粛警察」とも呼ばれる過剰な態度・行動を通じて社会的な軋轢が発生した状況についての時間的な変化を分析している。結果、2020年5月に比べ10月では,感染に対する懸念,他人の視線に対する懸念,自粛への賛成度,自粛警察的態度が有意に緩和していること,テレビのキャスター・司会者を参考にする者は感染への懸念が強く,他者の視線を気にし,自粛警察的態度を持ちやすいこと等が示されている。劉・兼田41)は、COVID-19の世界的流行に伴い、公共空間9
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