コロナ禍が豊田市の都市交通に与える影響のモニタリング
14/121

(4)働き方への影響 働き方への影響としては、通勤形態の変化、リモートワークの実態、就労におけるジェンダーギャップの変化に着眼したものがみられる。例えば、小松崎ら10)は、COVID-19を契機にリモートワーク化などの活動のオンラインシフトが進展したなかで、どのような個人がシフトしたのかという基礎情報について整理している。結果、仕事と私事活動の両方においてシフトが進んでいる群だけでなく,特定の活動のみシフトしている群があるなど,オンラインシフトには複数のパターンが見られることを明らかにしている。武田ら13)は、流行前,緊急事態宣言中,その解除後の3断面でのダイアリーデータから行動弾性図を作成し,都市類型や職業による変化の違いを把握している。結果、三大都市圏居住者や事務の在宅勤務実施は流行前よりも増加したままであったことを示している。石橋ら23)は、緊急事態宣言前後の日記データを用いて、COVID-19が12歳以下の子どもを持つ労働者の家庭内労働のジェンダー・ギャップに与える影響を測定している。結果、女性の家事・育児と男性の育児は「平常」に戻ったのに対し、男性の家事は宣言期間中に増加し、宣言終了後は再び「平常」に戻らなかったことを示している。岡田・出口37)は、コロナ第一波の緊急事態宣言中および解除後におけるテレワークの導入実態を把握し,それと就業者個人の属性との関係や,テレワーク導入の地域差と就業者の属性の傾向との関係について分析している。結果、テレワークの導入にあたり就業者間での差が生じた要因として,最も影響を及ぼした属性項目は業種と通勤時間だったこと、また地域差が生じた要因は2点あり,1点目は、自治体ごとのコロナ感染者はテレワーク導入率や頻度と正の相関を示したこと、2点目は、テレワークの頻度に応じた就業者の割合であり,東京都市圏では緊急事態宣言中および解除後を通してテレワーク導入率や頻度が他の都市よりも高かったが,これはテレワークを高頻度で行った就業者の割合が大きいことが影響しており,その傾向は郊外よりも東京都区部で顕著であることを示している。宮原・佃40)は、非常事態宣言下での在宅勤務者をアンケート調査対象者とし、自宅でのワークスペースに関する実態と課題について整理している。結果、リビングやダイニングにワークスペースを持つ世帯が全体の約半数を占めていること、家にいる他の家族の状況や天候、気分によって複数の部屋をワークスペースとして利用する場合があること、単身・夫婦のみ世帯のほとんどでワークスペースが居住空間から独立していないことなどを明らかにしている。 (5)消費行動への影響 消費行動への影響としては、国内旅行の変化、中心市街地来訪状況の変化、オンラインショッピングの利用状況の変化などの買い物行動の変化に着目しているものが多い。例えば、古屋3)は、COVID-19流行下における国内旅行実施や目 8

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る