小タクシー会社の実態と展望、COVID-19危機が経営に与える影響、タクシー補助金制度(TSS)の役割について調査をしている。結果、5割以上の会社がパンデミックの影響で売上が前年比6割減となったこと、タクシー事業におけるTSSの役割として、特に中小企業では約半数の企業がTSSを重要なサービス内容と回答したこと、6〜10台規模のタクシー会社ではTSSが事業売却に大きな影響を与えることを示している。中村・神田15)は、全国の上場交通事業者が開示する決算資料を集計し,営業収益や営業利益・損失の推移,雇用調整助成金の受取状況を分析している。結果、交通事業者の危機的状況は加速しており,赤字・減収に対する支援も不十分であることを示している。 (3)健康への影響 健康への影響としては、患者の利便性や医療従事者の負担軽減を目的にICTやMaaSの考えを取り入れたコネクティッド・メディスンの導入に関するものや、コロナ禍によるストレスレベルの変化、健康維持のための近隣スペースの活用と重要性の認識に関する研究が散見される。例えば、相馬ら1)はCOVID-19流行前後でのコネクティッド・メディスンの利用意向の変化及びその要因を分析している。結果、COVID-19流行によりコネクティッド・メディスンに対する利用意向が変化し,特にオンライン診療の利用意向で高い傾向を示すことを示している。田中ら2)はCOVID-19の蔓延および政府からの社会経済活動自粛要請に伴う,人々の意識行動への影響を把握している。結果、感染・死亡リスクを,現実の数倍〜数千倍過大に評価している様子があること、接触感染対策として効果的な「目鼻口を触らない」の徹底度合いが他の対策に比べて低いこと,「家にいる」ことについて,「ストレス」を感じる以上に「楽しい」と感じる人が多いことなどを明らかにしている。湯淺ら42)は、COVID-19の流行による住民の屋外空間の利用や意識の変化に着目し、屋外空間の利用方法の変化、今後の屋外空間の利用に対する人々の要望について調査している。結果、非常時には、多くの住民が日常的に、あるいは週に3回以上、自宅から近い(徒歩5分以内)屋外空間を利用していたこと、とくに、道路や水路などの水辺に隣接する場所を屋外空間として利用する住民が多数いたこと、住民は主に健康維持やリラクゼーションのためにこのようなスペースを利用していたこと、非常事態下でも屋外空間を利用することで生活の質が向上したと感じたと回答した人が25%いたことなどを明らかにしている。山田・信定44)は、2020年4月〜5月の非常事態宣言の前後で人々の外出行動がどのように変化したか、また健康満足度やストレスレベルがどのように変化したかを調査している。結果、非常時の健康満足度は,ストレスレベル,家事時間,雇用形態と有意に関連していたことを明らかにしている。 7
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