空間構造と利⽤者⼼理を踏まえた安全・安⼼な⾃転⾞通⾏空間整備⽅策に関する研究
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第⼆当事者が⾃転⾞かつ単路の事故,第⼆当事者が⾃転⾞かつ交差点付近の事故は,後者の影響が予想される.特に交差点付近の事故は推定値も⼤きく,歩道幅員の影響が特に表出しやすい.これは,当該箇所での歩道幅員は,⾃動⾞の⾞線構成の変化(例えば右折レーンの付帯など)が影響している可能性もあり,急な⾛りづらさから⾞道に出て事故に巻き込まれるといった状況を予期させる.空間の連続性を担保することの重要性が⽰唆されるものである.バス停数の増加が事故を減少させるという点は,⼀般的な予想とは異なる結果である.有意となったのは,第⼆当事者が⾃転⾞かつ交差点の事故(p<0.01)のみである.バス停が多い場合,⾞道⾛⾏の場合はもちろん,歩道⾛⾏時においても歩⾏者が多くなることが予想されることから,より安全な⾛⾏をされるケースが多いのかもしれない.この点については,現地調査等を通じたより詳細な確認が不可⽋であろう. さて,⾃転⾞通⾏空間整備として主に⾏われている⾃転⾞専⽤通⾏帯,⾞道混在(⽮⽻根)は,事故削減という観点からは効果があるとはいえないといった結果は,⽰唆に富むものである.対象エリアが愛知県に限定されているなど条件の制約もあることから,追試の必要性は⾼いと考えるが,それでも当該整備によって事故を削減するという政策上の過信がある場合は,再考の余地が少なくないように思われる.⾃転⾞通⾏空間の安全性を⾼めるうえには,すくなくとも道路構造側でのアプローチとの合わせ技を前提とすることが極めて重要であるだろう. 28

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