空間構造と利⽤者⼼理を踏まえた安全・安⼼な⾃転⾞通⾏空間整備⽅策に関する研究
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ロール条件となっていなかった.なお,有意となった専⽤通⾏帯は,⽚側⾞道部条件に連動し当該幅員が拡⼤するという点でコントロール条件と同⼀となっており,適正な⽐較判断が⾏われたものと推察する.以上から,モデル改良の必要性は踏まえつつも,今回の推定結果の活⽤にあたっては,コントロール条件からの⽮⽻根整備といった観点での効果は適切に予測できない点を踏まえることが肝要である.すなわち,⽮⽻根から専⽤通⾏帯の改変,もしくは外側線から専⽤通⾏帯への改変といった整備における評価に限定して使⽤することが望ましいと考える. 個⼈属性や利⽤⾃転⾞といった影響要因の結果は,⼀般的な認識や傾向と異なるものでなく,妥当なものと判断できる.ところで,スポーツバイク利⽤者の⾞道選択意向が⾼いという⼀般傾向が⾒受けられたなかで,唯⼀,スポーツバイクの⼀種であるMTB利⽤者が有意とならなかった点については課題として残った.歩道部は,インターロッキング舗装や⾞道と歩道の接続部など⾞道部に⽐して⾛⾏不快感が⾼いことが多い.当該バイクは,⾮舗装路での⾛⾏を前提とする構造的特性から,歩道⾛⾏においても他のスポーツバイクと⽐べて⾛⾏不快感が少ないなどの影響が予想される.近年は,コロナ禍を契機にスポーツバイクの需要が伸び3),特に舗装路と⾮舗装路双⽅での⾛⾏性能の⾼いスポーツバイク(グラベルロード,シクロクロスと呼ばれるもの)の⼈気が⾼まっている4).本研究の成果を踏まえれば,このことは,歩道⾛⾏をするスポーツバイクの増加を予期させるものであり,今後の規制のあり⽅について,⾃転⾞という⼤枠での枠組みに囚われない議論の必要性を⽰唆するともいえる. さて,利⽤者の⾏動(経験含む)や意識⾯に着⽬すると,本研究の成果からは特にルール認知の重要性が⽰唆された.⾞道⾛⾏にかかるルールを認知しているほど,⾞道選択意向が⾼まるという結果は,当該ルールにかかる啓発・教育活動の重要性を改めて確認できる.⼀部の学校での交通安全教育においては,安全⾯の観点からあえて⾃転⾞の⾞道通⾏を推奨しないといった対応を取っている例もある.⾃転⾞通⾏空間整備の不⼗分さが背景にあることが想像されることからも,当該整備を前提としつつも,安全性が確保されている空間では正しい⾛⾏位置を選択することができる,丁寧な教育の実施が期待されるところであろう. なお,事故経験とヒヤリハット経験が⾞道通⾏意向に対して対称的な反応となっている点は興味深い.危険事象の経験が安全側の⾏動変容を促すと考えると,両者の本質は同じであると予想されることから,この正確な理解においては,追試の検討とともに当該事象の対象者についての詳細分析が重要であるだろう. 20

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