高齢運転者を対象としたテレマティクス 自動車保険の社会受容性に関する 実証的研究
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図 1-1 自動車保険(強制保険と任意保険の違い) 1-1 研究背景及び目的 近年、交通事故防止に繋げようとして、自動車プローブデータに基づく先端的な情報通信技術を活用したテレマティクス自動車保険(以降、テレマティクス保険と称する)が開発され、販売開始された。テレマティクス保険商品の多数はドラレコを搭載せず、利用者の走行距離や運転行動によって、保険料が変動するものである。なお、テレマティクス保険を利用するため、任意保険の契約は必須である。つまり、強制保険のみを契約している利用者はテレマティクス保険が利用できない。ここで、強制保険と任意保険の違いを図 1-1に示す。 このような自動車保険を活用することで、保険会社から運転行動の診断レポートが取得できる高齢者が自分の運転行動を自覚することは、高齢運転者のより一層の安全運転が確保できるなどの効果が予想される。今、大きな社会問題となっている高齢運転者による交通事故の予防対策になるのではないかとの議論が行われている。一方で、該当保険は大手損害保険会社のみに販売されているため、格安自動車保険の利用者は契約先を変更する必要がある。このような経済的な負担で高齢運転者が受け入れるかは不明確である。 本研究はテレマティクス保険の社会展開に向けた方策を検討するため、高齢者を含む運転者を対象に、インタビューやアンケート調査を通じて、その社会受容性を把握することを目的とする。 1. 序論 1

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