地⽅都市におけるこれからの「みち」の在り⽅に関する 基礎的研究
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本研究で得られた知⾒は以下のとおりである. 6-1.みちに求める価値 ・みちに求める価値が⽐較的⾼いのは,「交通事故にあう危険性が低いこと」,「犯罪にあう危険性が低いこと」といった安全・安⼼に関わるものであった.対照的に,求める価値が相対的に低いのは,「空間ににぎわいがあること」であることを⽰した. ・みちに求める価値は道路種別による⼤きな違いはみられない⼀⽅,当該道路の所在する地域性や道路環境,回答者の居住地,属性,使⽤交通⼿段による違いは顕著にみられることを⽰した. ・みちに求める価値について,豊⽥市とそれ以外の地域に顕著な差がみられないことを⽰した. ・みちの在り⽅を住⺠らが「⾃分ごと」として捉えていくためのアプローチとして,安全・安⼼といった総論をきっかけに,地域性や居住地の⼈⼝構成なども踏まえつつ各論での調整を⾏うファシリテーションが有⽤であることを指摘した. 6-2.維持管理に対する意識 ・道路維持管理の重要性について,もっとも維持管理を⾏うべきと住⺠に考えられている道路は,中⼼市街地の幹線道路であり,対照的に,維持管理の重要性が相対的に低いのは,中⼭間地域の幹線道路であることを⽰した.また,中⼼市街地では幹線道路の維持管理の重要性が⾼く,郊外,中⼭間地域では,⽣活道路の維持管理の重要性が⾼くなるといった意識の逆転が⽣じることを⽰した.加えて,中⼼市街地や市街地に居住する回答者ほど,郊外,中⼭間地域の維持管理を重要と考えていないこと,中⼭間地域に居住する回答者は,特に中⼭間地域の道路の維持管理の重要性を⾼く考えている傾向にあることを⽰した. ・道路維持管理の⽅法について,⾏政管理ならびに沿道企業・組織⽀援の受容性が⾼く,地域住⺠⽀援ならびに道路利⽤者⽀援の受容性が低いことを⽰した.特にこの傾向は,費⽤的課題の予想されるような中⼭間地域の道路ほど強く⽣じていることを⽰した. 346.おわりに

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