地⽅都市におけるこれからの「みち」の在り⽅に関する 基礎的研究
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28(2)結果 表 4-1に分析結果を⽰す.モデルの精度を⽰す調整済み決定係数は,いずれのモデルも⾼くなく,採⽤指標のさらなる探索,使⽤するモデルの再検討の重要性は⾼い.他⽅で,選定指標のなかで⾼度に有意(p<0.01)となった指標が散⾒され,限定的ではあるものの,影響要因について考察は⾏えるものと考える.以下ではモデル精度の限界を踏まえつつ,結果についてみていく. まず,道路維持管理の重要性についてみる.道路空間の変数では,中⼭間地域の⽣活道路を除き,⾼度に有意となっている.符号がプラスであることからも,参照とした中⼭間地域の幹線道路と⽐べると,ほとんどの道路で当該維持管理が重要であると意識されていると推察できる. 属性の変数はいずれも⾼度に有意であり,係数の符号から,⼥性,および⾼齢の⽅の⽅が道路維持管理を重視する意識にあることがわかる. 居住地は,郊外居住,中⼭間地域居住が⾼度に有意であり,参照とした市街地居住者に⽐べ,当該地域の居住者は道路維持管理を重視していると推察できる. モビリティの変数はほとんど指標として選択すらされておらず,バイクダミーのみ⾼度に有意となっている.係数の符号から,バイク利⽤者は道路維持管理を重視しない傾向が予想されるが,反応数(回答者数)が他の交通⼿段と⽐べても極めて少ない(n=18名( 927名中))ことから,この結果の解釈は留意する必要があるかもしれない. 居住地の道路環境の変数は,道路附属施設の少なさを除き⾼度に有意であり,係数の符号から,道路空間の質が低いほど,道路管理の質が⾼いほど,道路利⽤者が多いほど,道路維持管理を重視している傾向がうかがえる. 次に道路維持管理⽅法の受容性についてみる.道路空間の変数では,⽣活道路の中⼼市街地および郊外のみすべてのモデルで有意となっている.係数の符号をみると,参照とした中⼭間地域の幹線道路に⽐べ,「⾏政管理」⽅法の受容性はいずれの空間でも低く,それ以外の管理⽅法は受容性が⾼いという結果になっている.これら以外にも,中⼼市街地の幹線道路は⾏政管理を除いてすべて⾼度に有意となっており,係数の符号から,参照と⽐べた場合のその受容性の⾼さがうかがい知れる. 属性の変数は⾏政管理,沿道企業・組織の受容性のみ有意となっている.符号をみると当該管理⽅法は全く逆の傾向を⽰しており,⾏政管理は男性ほど,年齢が⾼齢であるほど受容性が⾼く,沿道企業・組織⽀援は⼥性ほど,年齢が低いほど受容性が⾼いと読み取れる.

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