・本研究の⼀部は,令和4年度実施予定の⾃主研究(これからの「⽣活道路」空間マネジメントに関少⼦⾼齢化の波は必⾄であり,それは特に豊⽥市をはじめとする地⽅都市の喫緊の課題である.この問題は道路⾏政の在り⽅においても多⼤な影響をもたらす.例えば,⺠⽣費の増加分を補填するため,優先順位の低いとされる事業費を低減せざるをえないが,そこに緊急性のわかりづらい「道路インフラの更新費」が地⽅であるほど当てがわれやすいといった指摘がある(⽵本, 2020).財源の問題以外にも乗⽤⾞交通量の頭打ち傾向(leveling off)の議論(兵藤, 2013),⾼齢⼈⼝が圧倒的となる⼈⼝構成の変化やコロナ禍を契機に広がりをみせるリモートワークなど,みちを使う「⼈」の⾏動パターン変化の問題が予想される.このような状況が織りなす変⾰の影響は⼤きいものと考えるが,そのわかりづらさ,変化のゆるやかさからか,地⽅都市⾏政において危機意識が醸成されず,それらを踏まえたみちの在り⽅に関する議論が進んでいない可能性がある. 本研究は,「みち」に求められる価値や維持管理の在り⽅について,特に地⽅に住まう道路利⽤者側の意識を紐解くことで,地⽅都市におけるこれからの「みち」の在り⽅について考察を⾏った.(1)みちの価値 ・みちに求める価値が⽐較的⾼いのは,「交通事故にあう危険性が低いこと」,「犯罪にあう危険性が低いこと」といった安全・安⼼に関わるものであった.対照的に,求める価値が相対的に低いのは,「空間ににぎわいがあること」であることを⽰した. ・みちに求める価値は道路種別による⼤きな違いはみられない⼀⽅,当該道路の所在する地域性や道・みちの在り⽅を住⺠らが「⾃分ごと」として捉えていくためのアプローチとして,安全・安⼼といった総論をきっかけに,地域性や居住地の⼈⼝構成なども踏まえつつ各論での調整を⾏うファシリテーションが有⽤であることを指摘した. (2)みちの維持管理 ・道路維持管理の重要性について,もっとも維持管理を⾏うべきと住⺠に考えられている道路は,中⼼市街地の幹線道路であり,対照的に,維持管理の重要性が相対的に低いのは,中⼭間地域の幹線道路であることを⽰した.また,中⼼市街地では幹線道路の維持管理の重要性が⾼く,郊外,中⼭間地域では,⽣活道路の維持管理の重要性が⾼くなるといった意識の逆転が⽣じることを⽰した.加えて,中⼼市街地や市街地に居住する回答者ほど,郊外,中⼭間地域の維持管理を重要と考えていないこと,中⼭間地域に居住する回答者は,特に中⼭間地域の道路の維持管理の重要性を⾼く考えている傾向にあることを⽰した. ・道路維持管理の⽅法について,⾏政管理ならびに沿道企業・組織⽀援の受容性が⾼く,地域住⺠⽀援ならびに道路利⽤者⽀援の受容性が低いことを⽰した.特にこの傾向は,費⽤的課題の予想されるような中⼭間地域の道路ほど強く⽣じていることを⽰した. ・道路維持管理に対する住⺠意識に対して,属性,モビリティ,居住地域の道路環境が⾼度に有意に影響を与える要因であり,居住地の影響は特に道路維持管理⽅法の受容性においてほとんど有意とならないことを重回帰モデルの構築を通じて明らかにした.また,当該分析の結果を通じて,沿道企業・組織⽀援による道路維持管理が,まずもっての当事者意識を醸成する場として現実的な⽅向性である点を指摘した.また,そのような取組みを進めるに際しては,⼥性や若年層の取り込み,その組織化が有益である可能性がある点を指摘した.・豊⽥市における今後のみちづくりの⽅向性に資する成果を提供 ・特に,空間特性や居住地特性を踏まえた利⽤者意識に関する知⾒を提供 三村泰広 ⼭岡俊⼀教授(豊⽥⼯業⾼等専⾨学校),株式会社マクロミル(調査担当) 路環境,回答者の居住地,属性,使⽤交通⼿段による違いは顕著にみられることを⽰した. する研究)にて継続予定である. 報告者︓三村泰広 研究分野 1暮らしを⽀える交通,2.都市空間を創出する交通,3.交通の安全・安⼼ 業務類型 研究題⽬または 報告書タイトル 地⽅都市におけるこれからの「みち」の在り⽅に関する基礎的研究 研究の背景・内容 研究結果・ 得られた知⾒等 研究成果・社会への貢献,報告,技術的特徴等 *予定含む所内の担当者⽒名 協⼒先名 問題点・課題・今後の研究予定・その他 1.調査,2解析,3.政策検討,4.その他 2021年度 ⾃主研究概要
元のページ ../index.html#3