流出量は、次の2つの条件のいずれかで交通需要と等しくなる。1)検証期間中に渋滞が発生しない。2)渋滞は1サイクルまたは数サイクルの時間に発生するが、検証期間中に解消する。多くの場合、交通状況は1)または2)に当たる。単位時間の流出量と交通需要と同じなら、同じ交通需要で様々なシナリオでも所要シミュレーション時間の差は極めて少ない。そこで、単位時間の流出量あるいは所要シミュレーション時間だけで信号制御方法の検証は困難と考える。特に検証時間が1サイクルよりかなり長い場合、単位時間の流出量と交通需要が等しい可能性は高くなる。 平均遅延時間について、シナリオ1-5、1-4、と1-6では、モデル(3)がモデル(1)より24.6%〜65.2%で削減される。シナリオ1-2、1-7、と1-8も減少があるが、シミュレーション時間の変化率は0.2%以内である。この結果は、信号制御方法を検証するために平均遅延時間を評価指標とする重要性を証明できる。 変動係数について、シナリオ1-7と1-9以外のシナリオで減少が見られる。シナリオ1-2、1-4、と1-5では、90%未満の変化率を示す。平均遅延時間と変動係数の2つの指標に焦点を当てると、交差点の需要率が0.687、0.711、0.654とし、最も低いシナリオの1-3、1-7、1-9を除いて、他のシナリオで減少する。この現象の原因は下記と推断される。交差点の需要率または交通需要が低い場合、構築したアルゴリズムに交通流の計算方法(セクション6.2と図 6-4にある4SSCUのステップ1)の精度は低くなる。 渋滞が発生した場合(予定青時間内に車群を処理できない)、アルゴリズムに二つの対応方法(モデル(2)とモデル(3))について、モデル(1)に比べて変化の特徴は同様が、モデル(2)とモデル(3)を比較して、下記の特徴がある。モデル(3)はモデル(2)より平均遅延時間の減少率が多いが、変動係数の減少率が少ない。モデル(3)は非渋滞時でも、渋滞時でも平均遅延時間最小化を目指したアルゴリズムであり、効果が見える。モデル(2)の2秒ずつ青時間延長でサイクルごとに待ち車両全部処理できるように方法は運転者の信号待ち時間の最大の差を短縮する効果が見える。 7.3.2 観点2の検証結果 観点2の4つのシナリオの検証結果は表 7-5に示す。所要シミュレーション時間について、シナリオ2-4ではモデル(1)と比較して5.3%の減少率があるが、他の3つのシナリオでは0.1%以内の小さな変化率がある。前の3つのシナリオの少ない減少率は、単位時間の流出量または所要シミュレーション時間が信号制御方法のパフォーマンスを検証することの難しさを証明し続ける。 25
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