1-2.本研究に関する既存の研究 ら7)は、複数の交通機関を組み合わせた定額制の料金を含むMaaSの需要評価を行っている。9)の研究、溝上・円山10)の研究、川崎ら11)の研究、神力ら12)の研究などがみられる。 3 定額制のタクシーに着目した研究は、藤垣ら6)が行ったものがある。この研究では、岐阜県多治見市の住宅地を対象とした意識調査を実施し、タクシー定期券の損益分岐経費の推計を行っている。こちらの研究では、乗降可能箇所としてミーティングスポットを設定しており、本研究の外出促進のための乗り放題システムとはやや異なる。また、同じく藤垣その結果、運転に不安がある人や、駅から遠い人などの属性でMaaSの利用意向を示していることを明らかとしている。こちらの研究では、MaaSのサービスプランの一部としてタクシー利用も含まれているが、利用回数が制限されているものになっている。また、吉田8)は、1乗車あたりの定額制サービスである福島県南相馬市の「みなタク」を例に、利用頻度モデルの構築や、期待収入の推計を行っている。これにより、地方小都市のタクシーの1乗車あたりの定額制サービスは2~3kmの近距離を対象にすることで増収する可能性を示している。その他のタクシーに着目した研究は、乗合タクシーに焦点を当てた加藤・福本 タクシーの評価に関する研究は、以下のようなものがある。 鈴木・日野13)は、地方都市におけるタクシー運賃の価格感度とサービス評価との関係について分析を行っている。鈴木ら14)は、タクシー運賃の割引が地方都市高齢者の外出行動に与える影響について分析を行っている。鈴木15)は、駅周辺の特徴から、鉄道とバスの乗り継ぎの利便性について分析している。管野ら16)は、バス路線の効率化の面から乗り継ぎのあるバス路線網について考察し、住民に対するバス間での乗り継ぎ抵抗の調査を行っている。 高齢者の健康と交通との関係に関する研究は、以下のようなものがある。 健康や健康寿命と都市・交通要因との関係について分析を行った研究は以下のようなものがある。秋山・井ノ口17)は、都道府県単位のデータ分析から、自動車保有台数が多いほど健康寿命が長くなる傾向にあることを示している。佐々木18)は、アンケート調査から公共交通を利用しての診療所や病院までのアクセシビリティが悪い地区では、健康状態が悪いと回答する確率が高まる傾向にあることを示している。張・小林19)は、アンケート調査の結果から、大都市では公園までの距離が、その他地方政令都市ではバス停までの距離が健康関連QOLに有意に影響していることを明らかとしている。森ら20)は、都道府県を対象としたデータ分析から、公共交通利用分担率が高くなると、糖尿病や高血圧性疾患などの受療率が低いことや、年間医療費が低い傾向について示している。一方で、公共交通利用分担率が高いほど健康寿命や健康自覚期間の平均が小さくなる、想定とは逆の傾向についても示されている。このことから、健康寿命を構成する要素は様々であり、身体活動との関係は一概には言えないこととしてまとめられている。谷本21)は、アンケート調査の結果から公共交通の利用が、階段を手すりや壁をつたわらずに昇ることや、15分くらい続けて
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