地方都市でのMaaS導入が高齢者に与える価値の多角的評価
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1-1.研究の背景 2040年には、豊田市の65歳以上人口割合は29.6%に達すると推計されている。歩行可能 1.はじめに 1 JTBでは群馬県邑楽郡明和町を対象に、月のうち7日間、自宅と任意の2地点間のタクシー4)。JTBが企画したジェロンタクシーの概要を図 2に示す。JTBが企画したジェロンタクシ距離が短く、自家用車の運転ができない高齢者に対し、電車やバス、タクシーといった公共交通環境を整備することは重要となる。鈴木ら1)の研究では、500m以下の歩行しかできない人が、60代では11.4%であるのに対し、70代では21.3%、80代では39.4%になることを示している(図 1)。自宅からバス停までの距離が500m以上ある場合、これらの人にとってバスは利用できない。Door to Doorの施策やバス停までの移動のための施策が必要といえる。そこで本研究では、タクシーによる移動も含めた複数での交通モードの組み合わせに着目した。タクシーでの移動が容易である場合、外出が困難な高齢者が減少することが考えられる。高齢者のタクシーでの移動を促進するうえで、運賃が大きな抵抗となる。全国で高齢者のためのタクシー運賃の割引制度が行われている。例えば、秋田県秋田市では、65歳以上の高齢者に対し、運転免許の返納を条件にタクシー運賃が1割引になる制度を実施している。しかし、鈴木ら2)の研究では、1割程度の割引では、利用の促進にならないことが示されている。また、運賃の割引率を1割引、3割引、5割引、7割引と変化させた場合にも利用頻度が増えない人の存在を確認している。タクシーの現在の利用頻度と、5割引になった場合の利用頻度の比較について表-1に示す3)。運賃の割引率が5割引になることで53.8%(126人)のタクシーの利用頻度が増えている。その一方で、5割引になったとしても利用頻度が増えない人も40.2%(94人)存在する。これらの中には、タクシーよりも自家用車の方が便利だと感じている人や、健康状態からタクシーですら移動できない人が含まれている可能性がある。しかし、自由記述では「タクシー運賃が何割引きになったとしても、もったいないと感じてしまう」「割引になったとしても、料金はかかるので、新しくどこかに行こうとは思わない」趣旨の意見が複数存在した。運賃による高齢者の外出渋りを解消するためには、サブスクリプションの制度が必要である。 ここで、タクシーの乗り放題施策をみると、福岡市では2015年に、自宅と指定した2か所が定額で乗り放題となるタクシー定期券を実施した。また、北九州市では、特定区間が乗り放題になる定期券や、予め希望した区間が乗り放題となる制度を実施している。また、が乗り放題となる商品を期間限定(2019年8月1日~2020年2月29日)で売り出しているーは、事前に指定した2地点の距離により、料金が異なる。例えば、ジェロンタクシーを用いない場合のタクシー運賃が「730-820円」のAエリアと、「1、270-1、450円」のBエリアを選択した場合、月の料金は12、800円となっている。 本研究では、タクシーだけでなく電車・バス・タクシーの組み合わせによる月額制の乗

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