地方都市でのMaaS導入が高齢者に与える価値の多角的評価
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4-1.乗り放題施策に関するまとめ 4-2.タクシーとバスの乗り継ぎ施策に関するまとめ 4-3.まとめ 4.研究のまとめ 43 鉄道・バス・タクシーの公共交通が乗り放題になることによって外出頻度が増える属性は、比較的若い高齢者、最寄りバス停までの距離が長い高齢者、歩行可能距離が短い高齢者、バス・電車・タクシー・送迎の利用者となっていた。また、公共交通乗り放題プランの購入意向のある属性は、比較的若い高齢者、一人暮らしの高齢者、高齢者のみの世帯、バス停までの距離が長い高齢者、鉄道駅までの距離が長い高齢者、歩行可能距離が短い高齢者、バス・電車・タクシーの利用者となっていた。 現在自家用車を多く利用している人は、公共交通が乗り放題になったとしても各種活動が低下することが示された。ただし、施策の利用可能性のある人に絞った場合には、各種活動が増加することも示された。 タクシーとバスの乗り継ぎによる,高齢者の活動の拡大について分析を行った.タクシーとバスの乗り継ぎが無料になった場合には,現在の交通状況が「バス・電車のみ」の人や,自由に使える自家用車を保有していない人,階段の上り下りが困難な人で外出頻度が増加することが示された.また,有料のタクシーとバスの乗り継ぎプランであっても,将来を含めた場合には,多くの利用意向があることが示された.タクシーとバスの乗り継ぎプランについて,タクシーの割引率が大きくない場合でも,予約日や乗り継ぎ環境,乗り継ぎ時間の設定によっては,利用される可能性が示された. 乗り放題施策、タクシーとバスの乗り放題施策の両方において、自家用車から施策に置き換わった場合には活動が低下する高齢者が多く存在することがわかった。ただし、これら施策を利用することで活動が大きく増加する高齢者もおり、施策の対象となる高齢者や地域の選定が重要であることが示された。 当初予定していたアンケート結果検証のための実証実験は、新型コロナウィルスの蔓延により延期された。今後は、新型コロナウィルスが収束した後、これらの検証を行う予定である。

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