交通事故オープンデータの活用に向けた+地理情報システムにおける可視化・解析+ツールの開発
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1 1. 序論 1-1 研究背景及び目的 交通安全対策を検討・評価するため、事故データを活用することが有用である。一部の自治体は事故のデータベースを構築し、通学路の歩道整備等の安全対策を実施するために活用している。生活道路の事故対策検討を支援するため、公益財団法人交通事故総合分析センターが生活道路事故データをメッシュ図(500m)として提供している1。但し、事故発生箇所が把握できない点がある。2020年4月から、各都道府県の警察担当者が事故原票データ(位置情報を含む)を同様なフォーマットで公開する方針が閣議決定されたため、事故データのより一層の利活用が期待される。 そこで、本研究は交通事故オープンデータの利活用に向けて、事故データを可視化・解析する地理情報システム上で使えるプラグインツールを構築するとともに、事故データの分析に適用する機械学習等の分析手法をPython言語で実装することを目的とする。 1-2 研究特徴 本研究の特徴は次のように挙げられる。 まずは、本研究は先行研究2を踏まえた自主研究テーマであるため、研究遂行をするための環境が整っている点である。先行研究では、愛知県警から受領した豊田市の交通事故原票データに適用した交通事故マップを作成するためのQGISプラグインツールを構築した。本研究は、警察庁や都道府県の警察本部が公開した交通事故原票データに適用する交通事故マップを作成するためのQGISプラグインを構築する。 そして、交通事故データを活用することを念頭において、機械学習手法等をQGISの計算ツールとして実装する点である。近年、交通事故データの利活用について、事故箇所の可視化だけでなく、事故原票データに対する集計・解析も求められている。先行研究で構築したQGISプラグインツールが稼働できるQGISには、交通事故データを集計・解析できるPythonライブラリの実装も可能である。このため、交通事故データをさらに活用することを念頭において、本研究はQGIS環境に機械学習等の分析手法を実装することを試みる。 最後に、道路・交通管理者を対象に、交通事故データを使いやすい可視化・分析ツールの提供を目指している点である。本研究は交通事故原票データに適用した可視化・分析ツールを道路・交通管理者にご活用頂くことを念頭において、交通事故原票データを可視化するツールとして、オンライン事故マップやローカル事故マップ両方を検討する。ただし、交通事故を集計・分析するツールとして、ローカルのQGISに格納したものを構築する。 1 交通事故総合分析センターのHP,https://www.itarda.or.jp/web_map 2 公益財団法人豊田都市交通研究所,「交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み」自主研究報告書,2019年3月.

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