15 本研究で構築したゼロ強調負の二項回帰分析モデルの推定結果を表 3-2に示す。それに対する分析結果を次に整理する。 いずれの推定結果においても、バス停や高速道路ICまでの距離、住宅地域や近隣商業地域面積はマイナスに有意である。一方、人口はプラスに有意である。 低層住居専有地域面積は乗用車対軽貨物車の衝突事故に対して有意であることや、商業地域や準工業地域面積、高齢者割合は乗用車対一般貨物車の衝突事故に対して有意である。 道路密度はいずれのモデルにおいても、マイナスに有意であることから、道路密度が高い地域では、該当種類事故件数も多くなっている傾向があることが分かる。 表 3-2 ゼロ強調負の二項回帰分析モデルの推定結果 ***: 0.1%有意、**: 1%有意、*: 5%有意 3-1-4 本節の小括 表 3-2に示した構築したゼロ強調負の二項回帰分析モデルは地域メッシュの相関性を考慮していない問題点がある。ここで、地域メッシュの相関性とは、事故件数が多い地域では、隣接する地域で発生した交通事故の件数も多くなる傾向があることを意味する。このような説明変数に表現できない要因をモデリングする分析手法は通常のカウントデータ分析モデル(例えば、ポアソン分布回帰分析モデル、負の二項回帰分析モデル等)と比較して、モデル推定精度を向上させる可能性がある。 今後の方向性は、本研究で構築した分析モデルによる結果を踏まえ、空間相関性を考慮した負の二項回帰分析モデルを構築することに取組んでいく。 対軽貨物車(N=1,371)対一般貨物車(N=1,371)説明変数(単位)推定値Pr(>|z|)判定推定値Pr(>|z|)判定計数モデル(負の二項分布モデル)定数項1.937 0.000 ***2.093 0.000 ***駅までの距離(km)-0.021 0.675 0.021 0.710 バス停までの距離(km)-0.322 0.007 **-0.330 0.012 *小学校までの距離(km)-0.001 0.894 -0.004 0.747 高速道路ICまでの距離(km)-0.041 0.000 ***-0.049 0.000 ***低層住居専用地域面積(km2)-0.612 0.041 *-0.407 0.192 中高層住居専用地域面積(km2)-0.056 0.890 -0.355 0.420 住居地域面積(km2)-0.815 0.005 **-0.903 0.003 **近隣商業地域面積(km2)-4.525 0.001 ***-4.401 0.001 ***商業地域面積(km2)-0.772 0.109 -2.150 0.000 ***準工業地域面積(km2)0.602 0.082 0.877 0.016 *工業地域面積(km2)0.162 0.652 0.441 0.263 人口(千人)0.056 0.000 ***0.075 0.000 ***高齢者(65歳以上)の割合(-)-0.512 0.258 -1.539 0.001 **ゼロ過剰モデル定数項-0.009 0.959 0.239 0.183道路密度(km/km2)-0.086 0.000 ***-0.114 0.000 ***対数尤度-2937-2835
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