50 6.おわりに 6-1. 得られた知見について 本研究では、低未利⽤地の中でも空き家、空き地、耕作放棄地をに着⽬し、豊⽥市の低未利⽤地の状況整理、アンケート調査による低未利⽤地の対策・活⽤事例の収集を⾏ったうえで、豊⽥市の低未利⽤地の活⽤可能性について検討した。 【低未利⽤地の状況整理】 豊⽥市の特徴として低未利⽤地の割合は他の都市よりも低い、もしくは同程度となっているものの、⾃治体⾯積や市街化区域⾯積が他都市よりも広いため、⾯積は⼤きくなっている。また、豊⽥市内の地区によっても、低未利⽤地の傾向は異なるため、その地区の⽅向性や現状に即した低未利⽤地を活⽤することが重要であることを指摘した。また、空き家データについては、その分布状況まで把握できたため、空き家の位置から整理できる都市構造データを⽤いてクラスター分析を⾏い、クラスターごとの特徴を把握した。4つのクラスター(⼋草駅周辺の空き家群(クラスター①)、岩倉地域の空き家群(クラスター③)、市街地南部(クラスター②)及び市街地中⼼部(クラスター④)の空き家群)に分類し、それらの空き家群の都市構造的特徴を整理した。 【アンケート調査による低未利⽤地の対策・活⽤事例の収集】 空き家対策は対象エリアを区切らず、⾃治体全域としている対策事例が多い傾向にある。内容としては「空家等対策計画の策定」、「空き家バンクの創設」、「解体や除却に対する補助・助成」を実施している⾃治体が多い。また、⾃治体⾃⾝が空き家を活⽤している事例として、交流拠点や集会所として整備していたり、体験住宅として貸出している事例がある。空き地への対策を実施している⾃治体は少なく、内容としては「空き地に関する施策・条例の制定」や「空き地バンクの創設」を実施している傾向にある。⾃治体⾃⾝が活⽤している事例として、「広場・公園として整備」している事例がある。耕作放棄地への対策を実施している⾃治体も少なく、対象エリアを⾃治体全域にするか、市街化調整区域を対象としている⾃治体が多い傾向にある。また、内容としては、農地バンクの創設や農地バンク以外での農地の斡旋が多く、分類としては「農地に対する対策(耕作放棄地にしないための対策)」であり、「農地への再⽣への補助」等の「耕作放棄地に対する対策」を実施している⾃治体は少なかった。⾃治体⾃⾝が活⽤している事例として、「農家と協⼒した特産品の栽培」や「農業体験⽤の農地として活⽤」している事例がある。
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