11 空き地に関する施策や既往研究 近年の空き地に対する施策として、2017年に「空き地等の新たな活⽤に関する検討会のとりまとめ17」を国⼟交通省が発表しており、今後の空き地対策の展開として、モデル的先進事例を積み上げること、空地の実態把握を推進するとともに⾃治体内外部での⾏政情報の活⽤⽅策を検討すること、管理⽔準が低下した空き地所有者への是正措置の円滑化や⽀援の⽅策を検討すること、空き地等の新たな活⽤を促進するための枠組みが必要であること等が重要であると提⽰している。また、空き家バンクのHP(図 2-7)では空き地としても情報発信を⾏っており、建物がない状態でもマッチングができるようになっている。 空き地に関する研究は少ないが、例えば、中島18は名古屋市内外の空閑地(建物が⽴っていない⼟地)の活⽤事例について調査し、都⼼の魅⼒向上に向けた活⽤⽅法や活⽤促進⽅法について検討している。活⽤⽅法として、駐⾞場の集約化や新規整備の抑制、空閑地の⼟地利⽤転換の誘導、駐⾞場に変わる空閑地の暫定活⽤、まちに配慮した駐⾞場のあり⽅を検討する必要があると指摘している。上野・⼭家19は⺠有空地となっている地域の将来的な活⽤に向けて、地域ニーズの把握や将来的な⼟地利⽤の在り⽅を検討しており、⺠有地の活⽤においても、地域価値を創造することで公共性を担保し得る事を⽰唆している。 本研究では、現状での空き地に対する対策、空き地の活⽤事例を収集することで、空き家ではなく、空き地の将来的な活⽤⽅向性を検討している点に特徴を持つ。 耕作放棄地に関する施策や既往研究 耕作放棄地に対する施策として、近年では「農地中間管理事業の推進に関する法律(通称:農地バンク)」が2014年から開始された事が挙げられる(図 2-8)。これは、空き家・空き地バンクと同様に、農地の中間的受け⽫として設置され、農地を貸したい⼈と借りたい⼈をマッチングする仕組みであり、耕作したい⼈に農地を貸し出すことで、耕作放棄地になることを未然に防ぐことになる。また、空き家・空き地バンクに統合して、農地付き空き家として空き家バンクに登録されていることもある。他にも、耕作放棄地の対策事例集20があり、農業者や集落 17 国⼟交通省(2017):空き地等の新たな活⽤に関する検討会:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000062.html、2021.3.3にアクセス 18 中島壮太郎(2017):都⼼部における空閑地の活⽤⽅法に関する研究、名古屋都市センター研究報告書、No.127 19 上野正也、⼭家京⼦(2020):⺠有空地の活⽤検討プロセスに関する実践的研究―川崎市⼋丁畷駅前空地における実験的取組みを事例として―、⽇本建築学会技術報告集、第26巻、第64号、pp.1173-1178 20 例えば、農林⽔産省(2020):荒廃農地解消の優良事例集〜荒廃農地再⽣の取組〜https://www.maff.go.jp/j/nousin/tikei/houkiti/、2021.3.3にアクセス
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