都市構造別にみる市街地内低未利用地の活用方法について
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9 2-2.低未利用地の活用施策や既往研究の整理 低未利⽤地に対する国の施策や低未利⽤地に関する既往研究について整理する。 空き家に関する施策や既往研究 空き家に対する施策としては、「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空き家法)」があり、2015年5⽉から施⾏されている。この法律の施⾏により、「特定空家等10」に対して、⾃治体による⽴ち⼊り調査や所有者に対する修繕・除却に関する助⾔、指導、勧告、命令、⾏政代執⾏が可能となった。また、「特定空き家」に該当し、勧告を受けた場合、固定資産税や都市計画税の住宅⽤地特例の対象から除外されるため、特定空き家とならないよう、空き家の適正管理を空き家所有者に促している。また、「空き家再⽣等推進事業11」では、空き家住宅等の集積が居住環境を阻害し、地域活性化を阻害している区域において、不良住宅、空き家住宅、空き建築物の除却、もしくは空き家住宅、空き建築物の利活⽤にかかる費⽤の⼀部を助成し、居住環境の整備改善及び地域の活性化を促している。空き家を売りたい⼈と買いたい⼈をマッチングさせるシステムとして「空き家バンク」があり、空き家物件情報を地⽅公共団体のHP上などで提供している。全国版の空き家バンクのHP画⾯を図 2-7に⽰す。地⽅⾃治体ごとに設置されている空き家バンクの開⽰情報の標準化を図りつつ、各⾃治体の空き家等の情報を集約して、全国どこからでも簡単にアクセス・検索することを可能としたシステムとなっている。 空き家に関する研究では、⽴神ら12の研究では、空き家対策の評価をしており、空き家対策として⾃治体で独⾃に策定している事例は少ないこと、対策内容が国庫補助で得られる改修補助・除却補助、財政負担の少ない空き家バンク・⺠間連携に限定されており、対策内容が標準化・画⼀化していることを指摘している。また、独⾃の⼿法を⽤いて、積極的に空き家問題に取り組んでいる⾃治体では、空き家解消を⽬標ではなく⼿段として捉え、上位の政策課題に対する解決策への施策として取り組んでいることをして指摘している。尹13は東北4県76⾃治 10 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態⼜は著しく衛⽣上有害となるおそれのある状態、適切な管理が⾏われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の⽣活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。 11 国⼟交通省HP:空き家再⽣等推進事業について、https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000011.html、2021.3.3にアクセス 12 ⽴神靖久、横⼭俊祐、徳尾野徹(2020):全国⾃治体における空き家対策の評価と質的対応の可能性、⽇本建築学会計画系論⽂集、Vol.85、No.768、pp.393-403 13 尹莊植(2020):東北4県の豪雪地帯における空き家等の管理・利活⽤の実態に関する調査、⽇本建築学会技術報告集、Vol.26、No.62、pp.302-307

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