4 2.低未利用地の概要整理 2-1.低未利用地の現状と課題の整理 はじめに、⽇本国内における低未利⽤地の現状と課題について、統計情報等を⽤いて整理する。 空き家の現状と課題 総務省統計局が発表している、⽇本の総住宅数及び増加率の推移2を図 2-1、空家数及び空き家率の推移(全国)を図 2-2に⽰す。2018年の⽇本の総住宅数は6,242万⼾であり、年々、300万⼾程増加している。しかしながら、空き家数も年々増加しており、2018年は846万⼾(空き家率13.6%)となっている。また、野村総合研究所3が発表したレポートでは、2033年には空き家数は1955万⼾、空き家率17.9%になると推計されており、より空き家数が増加すると推計されており、空き家の除却率が進んだと仮定した場合では、2033年には17.9%が空き家になると推計されている(図 2-3)。都道府県別にみると、甲信地⽅、四国地⽅では空き家率が⾼く、最も空き家率が⾼いのは⼭梨県の21.3%、最も空き家率が低いのは埼⽟県及び沖縄県の10.2%である。なお、愛知県は11.2%であり、空き家率は低い県となる(表 2-1)。 空き家の課題として、防災性・防犯性の低下、衛⽣の悪化による悪臭の発⽣、ゴミの不法投棄の増加、景観の悪化、雑草の繁茂などが挙げられ、周辺住⺠に対する不利益が⼤きな課題となっている。しかし、空き家の所有者としても、将来的な利⽤を想定している所有者もいる⼀⽅、売りたいが売れない、利⽤したくてもできない状況の所有者もおり、所有者の意向は様々である。また、空き家の発⽣原因も様々であり、市街地の⾼齢化、東京への⼈⼝流出による地⽅都市の低密度化、中⼼市街地の店舗閉店、地域や周辺環境によって異なると考えられる。 2 総務省統計局(2019):平成30年住宅・⼟地統計調査 住宅数概数集計 3 野村総合研究所(2019):2030年の住宅市場と課題〜空き家の短期的急増は回避できたものの、⻑期的な増加リスクは残る〜、第276回NRIメディアフォーラム
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